著者
高橋 史生 田淵 香苗 坪井 美奈子 加藤 勲
出版者
日本酪農科学会
雑誌
酪農科学・食品の研究 (ISSN:03850218)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.A-107-A-112, 1995 (Released:2015-10-31)
参考文献数
12

紅茶浸出液が低温に保存されるとクリームダウン,あるいはクリーミングを生じる。その要因について,本研究は,特に紅茶浸出液に及ぼすカルシウムの影響を中心に検索した。1) カルシウム添加は,明らかにクリームダウンを促進した。その促進効果は,カルシウム濃度依存の傾向を示した。VC や EDTA は,カルシウム添加で生じる紅茶の濁度上昇の抑制効果を示した。2)タンニンとカフェイン各溶液にカルシウムを添加するとある範囲内で濁度の急上昇を認めた。3)カルシウム添加で人為的に作成して得たクリームダウンの沈降成分中のカルシウム濃度は経過時間と共に増大し,しかもカルシウム添加量の増加と共に各沈降成分中のカルシウム濃度が増大する傾向を示した。4) カルシウム添加でクリームダウンを生じさせた沈降物の形態は,球形以外に小桿状,あるいはダンベル型の結晶型も認めた。市販のミルクティーの沈降物中には,紅茶浸出液にカルシウムを添加しただけでは得られない典型的なダンベル型が多数認められた。
著者
高橋 史生
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.247-251, 1996-03-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11

市販清涼飲料水中のビタミンC含有量をフードアナライザーにより測定した結果, 以下のことが明らかとなった.(1) ビタミンCの測定に際して, フードアナライザー法は従来から行われているインドフェノール法と一致した測定結果を示した.フードアナライザー法は, 1,000mg/dl程度のビタミンC濃度において希釈することなく直接測定が可能であった.(2) 概して茶飲料系はビタミンC量が少なく, 炭酸飲料系のビタミンC量は非常に高い傾向にあった.(3) ほとんどの炭酸飲料系の製品ではそれを1本利用すると, 1日のビタミンC所要量を充足できる可能性は高いが, 茶飲料系の製品はその値を充足できる製品が50%に満たなかった.(4) 文献値から得たドリンク剤のビタミンC含有量 (mg/dl) は本調査で行った清涼飲料系に比べて約5倍以上の含有量であった.しかし, 1本当たりの内容量はドリンク剤よりも清涼飲料系の方が約4倍量と多いので1本当たりのビタミンC含有量を比較した場合, その差は約1.5倍に縮小した.特に, 炭酸飲料系の場合は上述とは逆にドリンク剤と比べて1・5倍ビタミンC含有量が多い結果を得た.