著者
高橋 史生 田淵 香苗 坪井 美奈子 加藤 勲
出版者
日本酪農科学会
雑誌
酪農科学・食品の研究 (ISSN:03850218)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.A-107-A-112, 1995 (Released:2015-10-31)
参考文献数
12

紅茶浸出液が低温に保存されるとクリームダウン,あるいはクリーミングを生じる。その要因について,本研究は,特に紅茶浸出液に及ぼすカルシウムの影響を中心に検索した。1) カルシウム添加は,明らかにクリームダウンを促進した。その促進効果は,カルシウム濃度依存の傾向を示した。VC や EDTA は,カルシウム添加で生じる紅茶の濁度上昇の抑制効果を示した。2)タンニンとカフェイン各溶液にカルシウムを添加するとある範囲内で濁度の急上昇を認めた。3)カルシウム添加で人為的に作成して得たクリームダウンの沈降成分中のカルシウム濃度は経過時間と共に増大し,しかもカルシウム添加量の増加と共に各沈降成分中のカルシウム濃度が増大する傾向を示した。4) カルシウム添加でクリームダウンを生じさせた沈降物の形態は,球形以外に小桿状,あるいはダンベル型の結晶型も認めた。市販のミルクティーの沈降物中には,紅茶浸出液にカルシウムを添加しただけでは得られない典型的なダンベル型が多数認められた。
著者
加藤 勲 岩 亨 鈴木 靖司 大野 真 坂中 清彦 辻 晶 伊藤 隆之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement3, pp.59-64, 2007-08-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

当院内で意識消失に対して汎用型自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)が使用された27例を検討し問題点を検証した.症例は,心停止を認めない意識消失が3例.心静止/無脈性電気活動が14例.心室頻拍(VT)/心室細動(VF)が10例であった.AEDがショックを放出したのはVF6例中5例.多形性VT1例中1例.単形性VT3例中0例で,単形性VTは全例心拍数250回/分未満であったためショックは放出されなかった(PHILIPS社の単形性VTでの作動条件は心拍数250/分以上).当院で使用経験のあるAEDモード付き除細動器は,通常のAEDよりも遅い単形性VTでも作動する(PHILIPS社の作動条件は心拍数150/分以上)ので,除細動器のAEDモードを使用した方が救命率は上がる可能性がある.またAEDの作動条件を満たさないVTでも手動モードであれば医師によりショックの放出は可能である.院外と院内の心停止では状況は若干異なるため,AEDの院内設置は理想的な機種選択が考慮されるべきと考える.
著者
加藤 勲 安藤 功一
出版者
日本酪農科学会
雑誌
酪農科学・食品の研究 (ISSN:03850218)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.A-87-A-94, 1994

硬質チーズの Gouda チーズと半硬質チーズのSt. Paulin チーズを試作し、熟成70日間に於ける各種糖、有機酸及び pH の変化を比較することによって以下のことが明らかになった。<br/>1. 先ず2種類のチース製造に於て製造上の主な相違点は、Gouda チーズのチーズバット内の予備加圧と、St. Paulin チーズの表面熟成菌 (<i>Brev. linens</i>) によるチーズ表面からの熟成である。これらの製造法の違いにより両チーズの味、色、臭い等に決定的な違いが生じた。<br/>2. 70日間15~16℃で熟成させることによってラクトースが分解を受けて Gouda チーズでは熟成前 (約0.2%) の約半分 (約0.1%) にSt. Paulinチーズでは 約1/4 (0.05%) まで減少した。一方、グルコースとガラクトースの含量は Gouda チーズで熟成一週間後でガラクトースで0.05%、グルコースで0.03%程度を示し、その後、熟成50日頃でガラクトースで0.1%、グルコースで0.04%まで増加した。また、St. Paulin チーズでは熟成一週間にガラクトースが0.33%に増加し、その後は減少した。グルコースは0.1%から徐々に増加し、2週間後には0.18%まで増加したが、その後は減少した。<br/>3. 両チーズには元々乳中に含まれる有機酸を含めて熟成中に5種類の有機酸 (オロット酸、ピルビン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸) が認められた。Gouda チーズではオロット酸と酢酸は熟成1日目にそれぞれ 20ppm と 100ppm の濃度が熟成の経過と共に減少し、乳酸は1.25%を示していたものがその後1.5%まで増加した。又、プロピオン酸は3日目に、ピルビン酸は5日目に検出されそれぞれ0.01%、8ppm 程度あったのがその後増加した。一方、St. Paulin チーズでは酢酸、乳酸、プロピオン酸そしてピルビン酸が熟成1日目から急増し熟成3~5日頃に最大に達した (酢酸:46ppm、乳酸:1.7%、プロピオン酸:0.18%、ピルビン酸:10ppm)。その後、熟成25日頃から再び酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸が増加し熟成35日頃から徐々に減少した。<br/>4. 両チーズ共に熟成2~3日でpH5.3前後から4.5位に急に低下しその後上昇した。Gouda チーズは熟成期間の最後までほぼpH5.6位で推移するのに対して、St. Paulin チーズは熟成14日頃に pH6.0 まで上昇してその後、35日頃に pH 5.5 まで低下した。更に熟成の経過と共にpHが再び上昇し最後には pH7.3 までに至った。