著者
金子 泰徳 池田 寛人 藤島 雄磨 梅田 亜友美 小口 真奈 高橋 恵理子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-11, 2022-04-27 (Released:2022-04-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2

本研究の目的は,日本語版Pure Procrastination Scale (PPS-J)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。本尺度の原版は,行動の遅延によって事態がいっそう悪化することが予想されるにもかかわらず自発的に遅らせる事象である先延ばしを測定するものとして開発されている。本研究では,大学生195名を対象に確認的因子分析を行った結果,「実行の先延ばし」「決断の先延ばし」「非適時性」からなる12項目3因子構造が示された。十分な内的整合性と構成概念妥当性を有することが確認された。また,大学生57名を対象として,再検査信頼性を検討した結果,許容範囲の値が得られた。大学生44名を対象とした日常生活の調査から,PPS-Jの十分な構成概念妥当性が示された。これらの結果から,PPS-Jは国内においても先延ばしを測定する尺度として使用可能であることが示された。
著者
高橋 恵理子 根建 金男
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.225-235, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
21

本稿では、青年期女性における身体不満足感への認知行動的介入の効果を検証するために、非無作為化試験を実施した。研究1では、認知行動的介入群において、外見に関する信念に焦点を当てて、自己の身体に対する思いやり/いつくしみを促進する実験課題を実施した。状態的な身体不満足感の得点について、外見に関する信念には焦点を当てずに身体について語る傾聴群、いずれの課題も行わない統制群と比較した。その結果、認知行動的介入群で状態的身体不満足感の得点が最も顕著に低減した。研究2では、研究1の実験課題を実際のカウンセリング場面に近づけて発展させ、認知行動的介入群でホームワークを含む4週間の介入プログラムを実施した。その結果、認知行動的介入群は傾聴群、統制群に比べて、身体不満足感などの得点がより減少する傾向にあり、主観的幸福感の得点はより増加することが示唆された。