著者
宮本 百合子 管 るみ子 山田 康人 渡部 学 高橋 留利子 丹羽 真一
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 = Journal of the Japan Epilepsy Society (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-10, 1999-02-01
参考文献数
6

家族内にてんかん発作、手指振戦、ミオクローヌス、光過敏性発症者を認めた1家系について報告した。この家系では、てんかんの発症年齢は19歳発症の1例を除き20歳以降と遅く、発作頻度は年に1回から数年に1回程度と少なく、抗てんかん薬による発作の抑制は良好な症例が多く見られた。発作型は7例中2例が部分発作とみなされ、部分発作が出現したと推測される症例も2例あった。脳波上突発波の出現部位に局在性を認めた。この家系は、臨床的特徴より良性家族性ミオクローヌスてんかん (BAFME) と考えられた。BAFMEの発作型は全般性強直間代発作で、脳波所見は多棘徐波複合、あるいは棘徐波、時に鋭徐波複合が広汎性に出現するとの報告が多いが、われわれが報告した1家系においては、部分発作とみなされるてんかん発作症状と局在性の突発性棘波を認めている。良性成人型家族性ミオクローヌスてんかんの、てんかん発作型についても再検討が必要と考えられた。