著者
高浪 景子
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

1. 両生類ツメガエル知覚神経系におけるガストリン放出ペプチド(GRP)系の組織化学解析前年度行った遺伝子発現解析およびタンパク質発現解析の結果を受け、今年度は、中枢神経系におけるGRPの局在解析を行うため、成体ネッタイツメガエル(Silurana tropicalis)の脳および脊髄組織を用いて免疫組織化学解析を行った。その結果、脳-脊髄の広域にわたり、GRP免疫陽性を示す神経軸索が密に分布していた。さらに、延髄および脊髄において、GRP免疫陽性線維や細胞体が多数観察された。以上から、両生類ネッタイツメガエル知覚神経系においてもGRP系が発現していることが示唆された。2. 硬骨魚類メダカ知覚神経系におけるGRP遺伝子、アミノ酸配列の同定硬骨魚類メダカ(Oryzias latipes)のゲノム情報に基づいたバイオインフォマティックス解析によりGRP/GRP受容体のオ-ソログ遺伝子を単離した。得られたメダカGRP配列を既に報告されている他の脊椎動物におけるGRPホルモン前駆体の配列と多重配列アライメントを用いて解析した。その結果、今回同定したメダカのGRP配列もGRP受容体配列もこれまで報告された他の脊椎動物との高い相同性が示された。次に、GRPとGRP受容体の各臓器における発現分布をRT-PCRを用いて解析したところ、哺乳類と同様にメダカにおいてもGRPが中枢神経系と消化器系に発現し、GRP受容体は脳と脊髄で高発現することが明らかになった。また、ウエスタンブロット解析により、GRP受容体のタンパク質レベルでの発現を調べた結果、脳と脊髄において、メダカGRP受容体の予測される分子量に特異的なシグナルが確認された。以上から、メダカ脳・脊髄においてもGRP/GRP受容体ともに遺伝子およびタンパク質レベルで発現することを明らかにした。
著者
河田 光博 山田 俊児 谷田 任司 時田 美和子 坂本 浩隆 松田 賢一 高浪 景子 大矢 未来 李 美花
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

神経系の発達臨界期における性差形成のメカニズムと、性分化が進んだ成熟期における行動の性差を生み出す回路、および行動入力の形態科学、ならびに性ホルモン受容体の分子イメージングを行った。行動の性差には臨界期におけるヒストンアセチル化などのエピジェネティックス機構間に階層性が存在し、また性ホルモン受容体の機能活性は臨界期ステージによって神経系の構造形成と行動相関を必ずしも一致させないことをはじめ、性行動の出力相の神経回路や性ホルモン依存的感覚(痒覚)のシナプス様相の解明、性ホルモン受容体の分子相関などを明らかにした。これらから、特定の分子を基盤に性差をもたらす行動神経内分泌機構の解明がなされた。
著者
高浪 景子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

エストロゲンは生殖や性行動などの機能調節だけでなく、体性感覚の調節に関与することが知られている。とくに、妊娠期間や更年期などのホルモン環境が変動する時期に、痒み感覚に変化がみられるが、女性ホルモンであるエストロゲンが痒み閾値を調節する機序については不明な点が多い。そこで、行動薬理学解析と組織学解析を行い、エストロゲンが痒み閾値調節に関与するか、ラットを用いて解析した。その結果、雌ラットにおいて体内エスロトゲン濃度に依存して掻破行動の変化がみられた。また、 エストロゲンが感覚神経系 CGRP の発現を制御し、痒み閾値を調節する可能性が示唆された。