著者
河田 光博 山田 俊児 谷田 任司 時田 美和子 坂本 浩隆 松田 賢一 高浪 景子 大矢 未来 李 美花
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

神経系の発達臨界期における性差形成のメカニズムと、性分化が進んだ成熟期における行動の性差を生み出す回路、および行動入力の形態科学、ならびに性ホルモン受容体の分子イメージングを行った。行動の性差には臨界期におけるヒストンアセチル化などのエピジェネティックス機構間に階層性が存在し、また性ホルモン受容体の機能活性は臨界期ステージによって神経系の構造形成と行動相関を必ずしも一致させないことをはじめ、性行動の出力相の神経回路や性ホルモン依存的感覚(痒覚)のシナプス様相の解明、性ホルモン受容体の分子相関などを明らかにした。これらから、特定の分子を基盤に性差をもたらす行動神経内分泌機構の解明がなされた。
著者
西森 克彦 東田 陽博 尾仲 達史 坂本 浩隆 黒田 久美 八尾 寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

脳内オキシトシン(OXT)と受容体は社会行動の制御機能を持ち、ヒト鼻腔投与OXTが社会性を高める事から自閉症への投与試験も開始された。本研究ではOXTR発現性神経の社会行動制御機構を解析した。まずOXTによる5-HT分泌制御の役割を解析した。そして、社会識別時にMeAのOXTR発現神経の多くでc-Fos活性化を検出した。5-HT神経特異的OXTR遺伝子KOマウスを作製、当該神経の機能解析を行ったが社会記憶の障害は見出せなかった。体温調節能に関わる淡蒼縫線核のOXTR発現性Glutaminergic神経を見出した。一方、OXTR発現性I型味細胞の解析を進め、その性質について新しい情報を得た。
著者
西 真弓 坂本 浩隆
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

脳内コルチコステロイド受容体にはグルココルチコイド受容体(GR)とミネラルコルチコイド受容体(MR)の2種類が存在し、いずれもホルモン誘導性の転写制御因子であり、低分子脂溶性ホルモンのコルチコステロイドとの結合により活性化され、細胞質から核へ速やかに移行し、脳内で発生、分化、ストレス応答など多彩な作用を発揮することが知られている。また共通のリガンドであるコルチコステロイドに対して、MRはGRよりもおよそ10倍親和性が高いことも知られており、この親和性の差を反映して恒常状態ではMRが主として活性化されるのに対し、ストレス状況下などコルチコステロイドの分泌が増加した状態ではMRに加えてGRも活性化されると考えられている。しかしながら、ストレスやサーカデイアンリズムなどに伴いダイナミックに変動するホルモン環境に対し、これら2つの受容体がいかにして神経細胞の突起、細胞質から核へ移行し、標的遺伝子の転写を調節するのか、という生物学にとって極めて基本的かつ重要な問題が未だ明確にされていないのが現状である。本研究では、これら受容体が核局在化シグナル(nuclear localization signal ; NLS)を有することから、このNLSを認識する輸送因子であるインポーチンαおよびβに着目した。平成17年度は、海馬培養神経細胞にCFP-GRあるいはCFP-MRとYFP-インポーチンαの種々のサブタイプを共発現させ、コルチコステロイドを投与した際に受容体とインポーチンαが同時に核内へ輸送されるかを、live cell imagingの手法を用いて解析した。その結果サブタイプにより、核輸送に違いがあることが明らかになった。平成18年度は、GRとインポーチンα1あるいはα3は結合するが、これら複合体は樹状突起から細胞体、核の方には輸送されない、という2点に必要な部位の決定を行い、ミュータントを作成した。現在、受容体とインポーチンαとの複合体を核へ輸送するモーター分子を探索する実験が進行中である。