著者
高田 賢一
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、20世紀アメリカ児童文学における子ども像と自然環境意識の変容の歴史を解明することである。そこから得られた結論の第1は、自然環境の破壊と公害の先進国であるアメリカは、児童文学の分野において人間と自然環境の調和を真剣に考える先進国でもあるということである。結論の第2は、子どもが社会改革の可能性を秘めた存在であるという点である。第3の結論は、20世紀アメリカ児童文学、特に動物物語における子ども像と環境意識の歴史的変遷を『オズの魔法使い』を始めとする主要な作品に即して解明することにより、アメリカの児童文学が未来の社会を担う子どもたちに対して、新たな自然観、さらに自然環境への対応方法を提示してきたことが明らかとなった。すなわち、自然は人間が支配することのできない他者であるとの認識を持つことの必要性である。第4の結論は、児童文学に焦点を絞ることにより、自然・環境意識の変遷、レイチェル・カーソンのいう「驚きの感覚」を持つ子どもと自然環境との関連の歴史的特質、そして児童文学作家たちの環境意識の変容を明らかにしたことである。つまり本研究は、子どもと自然環境の角度から考察したアメリカ研究なのである。今後の課題は、子どもと自然環境の関わりを重視する新たなアメリカ児童文学史の構想であり、児童文学と環境教育との結びつきを視野に入れた研究へと幅を広げる必要性ではないだろうか。今後、このような考えに基づき、さらに多くの作家・作品を対象とすれば、その研究は国内外の最先端の研究と位置づけることが可能になると思われる。
著者
高田 賢一郎
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.112-113, 2009-05-01 (Released:2009-05-20)
参考文献数
5
著者
野田 研一 山里 勝己 木下 卓 高田 賢一 中村 邦生 窪田 憲子 笹田 直人 中川 僚子 久守 和子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

英米文学および英米文化の研究を通じて、英米圏における〈日本幻想〉の胚胎・生成とインパクトの諸相を総合的かつ具体的に検証することをめざした。(ただし、課題の性格上、日本文学に関する研究も含まれる。)理論的には表象論を基底に据え、コロニアリズム/ポストコロニアリズムにおける「接触界域」(contact zone)論を踏まえつつ、日本表象に内在する複雑なダイナミズムを明らかにした。具体的には、言説としての〈日本幻想〉生成のプロセスを複数のテーマ設定によって分析した。これらのテーマは、連続的な生成プロセスであり、明瞭な区分を与えることは困難であるが、このプロセス全体を通じて、所定の個別化された〈日本幻想〉が産出・消費されてきたものと考える。