著者
広渕 崇宏 高野 了成
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2015-OS-135, no.5, pp.1-9, 2015-11-17

次世代不揮発性メモリはリフレッシュ電力が不要である反面,書き込み時の消費電力が DRAM よりも大きいとされる.そこで,STT-MRAM と DRAM を搭載した計算機を想定して,仮想マシンに対して動的にメモリ割り当てを最適化するハイパーバイザを試作した.仮想マシンに対して透過的に,書き込みが頻出するページを DRAM に配置し,消費電力を抑制することを目指す.提案ハイパーバイザは,DRAM および MRAM から仮想マシンのメモリを割り当てる機構,軽量なメモリアクセスのトレース機構,ページマイグレーションを判断するアルゴリズム,DRAM と MRAM 間でページをスワップする機構からなる.Qemu/KVM に対して提案ハイパーバイザを開発している.本稿では Work-in-Progress として,現状のプロトタイプ実装を紹介する.簡易な実験を行った結果,提案機構が書き込みの多いページを DRAM へ動的に再配置できることを確認した.
著者
児玉 祐悦 高野 了成 岡崎 史裕 工藤 知宏 伊藤 智
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.1-7, 2009-11-23

データセンタの省エネルギー化を推進するために、IT 機器による生産性を加味した電力利用効率の指標が求められている。そのような指標を策定するために、処理内容による消費電力のモデル化が重要となる。その一歩として、ネットワーク転送時のノードの消費電力のモデル化を試みた。その際、ペーシングによる帯域制御を行ったところ、転送バンド幅を減少させても消費電力が増加する場合が観測された。これは割り込み削減機構に因るものであり、この割り込み遅延時間を制御することにより、消費電力を削減することができた。ネットワーク転送時の消費電力のモデル化には、転送バンド幅だけでなく、割り込み回数をパラメータとすることが有効であった。To improve the energy efficiency of data centers, the new metrics for data center efficiency are required to include productivity that is a useful work produced in a data center. To propose a new metric, we will create a model of power consumption for productivity. As the first step, we measured the power consumption of nodes when they communicate using network. In this measurement, we observed that the power consumption increased when the effective bandwidth was decreased with rate controlling by pacing. This phenomenon was caused by interrupt coalescing, and by controlling the delay time of interrupt the power consumption can be decreased. We also found that the number of interrupts is a good parameter to estimate the power consumption of nodes with communication.
著者
小川 宏高 松岡 聡 佐藤 仁 高野 了成 滝澤 真一朗 谷村 勇輔 三浦 信一 関口 智嗣
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2017-HPC-160, no.28, pp.1-7, 2017-07-19

国立研究開発法人産業技術総合研究所 (以降,産総研) では,平成 28 年度二次補正 「人工知能に関するグローバル研究拠点整備事業」 の一環として,平成 29 年度末に,東京大学柏 II キャンパスに,「AI 橋渡しクラウド (AI Bridging Cloud Infrastructure)」 (以降,ABCI という) の導入を計画している.ABCI は,我が国の人工知能技術開発のためのオープンなリーディングインフラストラクチャの実現を目指し,アルゴリズム (Algorithm),ビッグデータ (Big Data),計算能力 (Computing Power) の協調による,高度な人工知能処理を可能にする大規模かつ省電力なクラウド基盤である.本稿では,ABCI のサーバシステムにフォーカスしつつ,ABCI の概要と,システム設計上の論点と我々が採った方策について紹介する.
著者
広渕 崇宏 高野 了成 工藤 知宏
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.12, pp.1-6, 2015-05-19

システムソフトウェア分野において不揮発性メモリ技術に関する研究を進めるため,オペレーティングシステムのメモリアクセス傾向を把握する手法を開発した.オペレーティングシステムを改変することなく,そのメモリ読み書き速度や読み書きメモリページ番号を記録できる.ハードウェアが備えるメモリアクセス監視機能を用いて既存ハイパーバイザーを拡張することで実現した.CPU インストラクションを逐次分析する方式と比べて遙かに高速に動作する.試作を通じて提案機構の基本的な動作を確認できた.