著者
高野 季樹 内田 大貴 山川 宇宙
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.71-80, 2023-07-11 (Released:2023-07-11)
参考文献数
28

カラドンコはベトナム北部から中国東部を原産地とする純淡水魚である.2010 年に茨城県の菅生沼において国内で初めて確認された国外外来魚であり,利根川本流への分布の拡大が報告されている.このような状況下で,東京都葛飾区の利根川水系江戸川で本種1 個体が採集された.本個体の侵入経路として,既知産地から利根運河を介した江戸川への拡散と,既知産地とは独立した新たな人為的導入の2 通りの経路が考えられた.本種は肉食魚類であることから,在来生態系への影響が懸念されている.今後は本種の継続的なモニタリングを実施するとともに,侵入の初期段階での防除の検討が望まれる.
著者
高野 季樹 内田 大貴
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.81-90, 2023-07-11 (Released:2023-07-11)
参考文献数
25

改良品種である「観賞魚メダカ」については,近年国内における野外放流事例が相次いで確認され,在来の野生メダカの個体群への悪影響が懸念されている.著者らは,千葉県浦安市のビオトープ池において,一般的な野生メダカとは異なる色彩,形態をもつメダカ類44 個体を含むメダカ49 個体を採集した.形態的特徴から,これらはいずれも品種としての価値が低い個体であり,養殖個体群から除去された観賞魚メダカと考えられた.このような観賞魚メダカが流出すると,遺伝的かく乱のみならず感染症や寄生虫の媒介による在来の水生生物への悪影響が懸念される.今後の意図的および非意図的放流防止のためにも,普及啓発が必要である.