著者
高野 幸路
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.841-848, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
13

プロラクチン産生腫瘍は,性周期のある女性の場合は無月経,乳汁漏で,男性の場合はリビドーの低下や下垂体機能低下症の症状,視機能障害をきっかけに診断に至る場合が多い.プロラクチン産生腫瘍をふくむ多くの間脳,下垂体疾患において女性では月経周期の異常や無月経が起こるので,月経についての問診は重要である.高プロラクチン血症の原因として最も多いのは薬剤性高プロラクチン血症である.また,妊娠による高プロラクチン血症など,鑑別診断は重要である.鑑別診断をよく理解するためには,生理的なプロラクチン分泌の調節機構の知識が必須である.本稿ではこれを略述したのちに高プロラクチン血症の鑑別診断を述べ,最後にプロラクチン産生腫瘍の治療について解説する.
著者
井上 光子 鎌田 裕二 坂東 慧 田口 朋 村田 秋穂 新井 梨衣那 佐々木 紗也加 林 哲範 高野 幸路 七里 眞義
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.214-219, 2019-04-30 (Released:2019-04-30)
参考文献数
25

67歳男性.インフルエンザワクチン接種2日後に口渇を認め,1週間で体重が6 kg減少した.ワクチン接種9日後に受診し,空腹時血糖329 mg/dL,HbA1c 8.4 %,尿中ケトン3+,pH 7.430,HCO3- 21.5 mmol/Lであり,糖尿病性ケトーシスで入院した.先行する上気道症状はなく,受診19日前はHbA1c 5.7 %であった.入院時,膵外分泌酵素は上昇し膵島関連自己抗体はZnT8抗体のみ陽性であった.尿中CPR 22.4 μg/日,グルカゴン負荷試験でCPR前値0.54 ng/mL,6分値1.15 ng/mLと,内因性インスリン分泌は枯渇せずに留まっていた.HLAタイピングは自己免疫性1型糖尿病の疾患抵抗性を示すDQB1*06:01:01/06:02:01であった.本症例は劇症1型糖尿病に類似し,発症にインフルエンザワクチンの関与が示唆された急性発症1型糖尿病である.
著者
高野 幸路
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.710-715, 2008 (Released:2009-01-23)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

機能性の神経内分泌腫瘍では,腫瘍としての問題(腫瘍増大·浸潤,遠隔転移)に加えてホルモン過剰分泌によるさまざまな症状が出現し,患者を苦しめる.機能性神経内分泌腫瘍には進行が緩徐で経過が長いものが多い.この間,腫瘍よりもホルモン過剰症状が患者を日々煩わし,生活の質を著しく損ね,生命予後も悪化させる.一方,非機能性腫瘍は遠隔転移後にみつかることも多く手術で根治できないことも多い.ホルモンの過剰分泌の抑制,転移性神経内分泌腫瘍の治療にソマトスタチンアナログが有効でありその導入により患者のQOLの改善,stable diseaseの維持が可能になっている.本稿では,ソマトスタチンアナログの特徴,適応,有用性について述べる.