著者
森田 昇 川堰 宣隆 田代 雄介 大井 慶太郎 山田 茂 高野 登 大山 達雄
出版者
社団法人 砥粒加工学会
雑誌
砥粒加工学会誌
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.547-552, 2007

本研究は,GaAs半導体の研削加工におけるクラック発生機構を明らかにすることを目的としている.単粒研削時のクラック発生過程を詳細に検討するため,傾斜ステージをもったスクラッチ加工機を試作した.これを用いてGaAs(100)のスクラッチ加工実験を行い,とくに結晶方位依存性の観点から,GaAsにおけるクラック発生機構の特異性について検討した.これより,GaAsにおけるクラックの発生は結晶方位に強く依存し,[0¯11]方向に加工したときに最も脆性破壊が生じやすく,[011]方向の場合に最も生じにくいことがわかった.また,脆性破壊部の形状は加工方向によって大きく異なる.以上の結果より,GaAsにおけるクラック発生機構は結晶方位によって変化し,その傾向はSiのそれとは異なることがわかった.