著者
渡邊 浩之 魚住 信泰 川崎 三紀子 反町 千里 村田 英紀 高雄 泰行 上野 秀之 藤澤 和彦 笠原 成彦 浜 英永 井上 富夫 橋本 佳明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.287-289, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は47歳,男性.5年前に血糖の軽度高値を指摘されたが放置していた.入院2週間前より口渇感が強くなり,1週間前には含糖清涼飲料水を約5,000 ml飲むようになっていた.食欲不良と倦怠感が増悪し,意識混濁状態が出現したため入院となった.血糖2,531 mg/dl, HbA1c 12.4%, 血清ナトリウム98 mEq/l, K 7.1 mEq/l, Cl 60 mEq/l, 血清クレアチニン1.56 mg/dl, 尿素窒素40.9 mg/dl, 尿ケトン体(-), 動脈血pH 7.349, HCO3-21.1 mmol/l, 血漿浸透圧407 mOsm/kgH2O(計算値346 mOsm/kgH2O)より高浸透圧性非ケトン状態と診断した.生理食塩水とインスリン静脈内投与により高血糖,低ナトリウム血症が是正され入院翌日には意識清明となった.本症例は著しい高血糖,低ナトリウム血症および浸透圧ギャップが認められた興味ある症例と考えられた.
著者
堀籠 啓太 伊藤 聖学 大河原 晋 相川 利子 今田 悟 宮澤 晴久 下山 博史 高雄 泰行 下山 博身 渡部 晃久 森下 義幸
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.77-83, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
18

症例は61歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全により, 週3回の血液透析 (HD) 中であり, 透析後半に頻回の血圧低下を起こしていた. 身体所見や心胸郭比, 循環血液量モニタリングからは適正な体液の状態と判断していた. 本人の同意を得たうえで, 脳内局所酸素飽和度 (rSO2) のモニタリングを行った. HD中のモニタリングでは, HD開始120分後まで緩徐に平均血圧が低下した際, 右前額部において脳内rSO2の低下が観察された. 脳内の虚血性病変を疑い, 核磁気共鳴画像を撮影したところ, 右内頸動脈の高度狭窄が確認された. 単一光子放射断層撮影では安静時の脳血流は保たれていたため, 手術には至らず, 現在も経過観察中である. HD患者の脳内rSO2のモニタリングは脳内虚血性疾患の診断に寄与する可能性がある.