著者
上田 三穂 小林 裕 吉森 邦彰 高橋 由布子 近山 達 池田 元美 魚嶋 伸彦 木村 晋也 田中 耕治 和田 勝也 小沢 勝 近藤 元治 河 敬世 井上 雅美
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.657-662, 1997 (Released:2009-04-28)
参考文献数
15

Chronic active Epstein-Barr virus infection(以下CAEBV)の経過中にEBV感染T細胞の腫瘍化を起こした1例を経験した。症例は20歳女性で発熱,陰部潰瘍,口腔内潰瘍などのベーチェット病様症状で来院した。頚部リンパ節腫脹を認め,生検では炎症性変化であった。EBV抗体価よりCAEBVと診断し,PSL, acyclovirの投与をおこなった。一旦症状は改善したが,発症約10カ月後に汎血球減少を呈し,骨髄にて異常細胞を35%認めた。TCR-β遺伝子の再構成を認めT細胞腫瘍と診断した。化学療法にて骨髄は寛解となったが,全身のリンパ節の再腫脹を認め,約3カ月の経過で治療抵抗性のため死亡した。骨髄中の腫瘍細胞でのEBVのterminal probeを用いたSouthern blottingにてsingle bandが検出され,単クローン性が証明されたことより,EBV感染T細胞の腫瘍化と考えられた。本邦の成人例では稀であり,報告した。
著者
吉井 由美 松村 弥生 朴 将源 上辻 由里 安田 考志 川瀬 義夫 松本 雅則 藤村 吉博 魚嶋 伸彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.147-149, 2013-01-10
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は36歳,女性.リツキシマブ投与にて寛解に至った標準療法抵抗性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例を経験した.血漿交換開始後に抗ADAMTS13抗体およびLDの再上昇を認めた時点で難治性と判断し,リツキシマブを投与した.その結果,第30病日に血漿交換を離脱でき,約18カ月にわたり寛解を維持している.標準療法抵抗性TTPにおいて血漿交換開始後の抗ADAMTS13抗体価およびLDの上昇が難治性の判断に有用であると考えられた.<br>