著者
高津戸 秀 糸川 恵美子 阿部 文一 鳴海 安久
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.727-730,735, 2000-07-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

エノコログサ属植物に含まれるステロールのガスクロマトグラフィーによる定量を行った。アワ (Setaria italica) では, シトステロールは種子, 葉, 茎及び根の各器官においても最も多く含まれていた。また, シトスタノールは種子に局在し, スティグマステロールは葉及び茎に局在していた。エノコログサ (S. viridis), オオエノコロ (S. X pycnocoma) 及びキンエノコロ (S. glauca) についても種子, 葉, 茎の器官別にステロール含量を解明した。シトスタノールはこれら3種において, アワよりは少ないながらも検出された。オオエノコロの種子, 葉, 茎における主要植物ステロール (カンペステロール, スティグマステロール及びシトステロール) の含量はアワのそれと良く似ていた。キンエノコロとエノコログサでは, 葉及び茎での主要ステロール含量は種子と比べて著しく少なく, アワやオオエノコロの葉及び茎の主要ステロール含量とは大きく異なっていた。同じイネ科エノコログサ属植物において, このような相違点が見られたことは化学分類的に興味深い。