- 著者
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鶴 秀生
- 出版者
- 一般社団法人 日本音響学会
- 雑誌
- 日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.7, pp.296-301, 2011-07-01 (Released:2017-06-02)
- 参考文献数
- 7
数値解析手法の一つである差分法は,楽器が発生する音の解析に用いられようになってきた。今回,木琴の振動の時間的挙動を記述するために,1次元モデルであるTimoshenko梁理論や2次元モデルであるMindlin平板理論を,場所によって厚みが変化する形状に適用できるように拡張したものを用いて物理モデルを考えた。板や梁の振動を時間領域で数値計算を行う場合に用いる時間積分の安定性を確保するために,Implicitな積分法の適用を行った。1次元モデルと2次元モデルを用いた解析結果の比較を行い,両者に良好な一致が見られた。数値解析の結果,現実に近い音を再現する場合は,粘弾性や流体力学的な減衰項が大きく影響することが分かった。また,実測値に近い固有周波数特性を得るには,素材の異方性を考慮することが重要なことも分かった。