- 著者
-
鶴屋 和彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本透析医学会
- 雑誌
- 日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.7, pp.431-439, 2022 (Released:2022-07-28)
- 参考文献数
- 55
わが国では急速に高齢化社会が進展しており,慢性腎臓病(CKD)患者や透析患者の増加と高齢化が進んでいる.それに伴って,認知機能障害者が増加し,その対策が喫緊の課題となっている.CKD 患者の認知症の特徴は脳血管型認知症の頻度が高いことで,その対策には高血圧や糖尿病などの動脈硬化の古典的危険因子の管理による予防が最も重要である.その他,レニン・アンジオテンシン系阻害薬や貧血対策,運動療法,生活習慣改善などの有効性が報告されている.透析法や腎代替療法の違いも認知機能に影響する可能性があり,長時間透析,低温透析,腹膜透析,腎移植による認知機能保持効果が報告されている.認知症対策では透析中止や非導入への対策も重要で,アドバンス・ケア・プランニングの普及と保存的腎臓療法の確立が望まれる.