著者
鶴屋 和彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.856-864, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33

近年,心房細動例においてワルファリンに代わる直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)が使用可能となり,その使用頻度は年々増加している.DOACは,早期~中等度の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)においても有効性・安全性が認められているが,高度腎機能障害例や透析患者では禁忌とされている.また,透析患者では,心房細動例に対するワルファリン投与の是非についても結論が出ていない.現在,血液透析患者を対象とした無作為化比較試験が行われており,その結果が待たれる.
著者
鶴屋 和彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.5, pp.926-935, 2017-05-10 (Released:2018-05-10)
参考文献数
32

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者における認知機能障害は,貧血,酸化ストレス,レニン・アンジオテンシン系に加え,脳血管障害も大きな要因であり,その予防は極めて重要である.脳血管障害には,高血圧,脂質異常症,貧血とその治療に加え,最近,透析例において血清リン濃度の関与も指摘されている.心房細動合併CKD患者に対する抗凝固療法は,保存期CKD患者では有用性が示されているものの,血液透析患者ではいまだに結論が出ていない.
著者
鶴屋 和彦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.431-439, 2022 (Released:2022-07-28)
参考文献数
55

わが国では急速に高齢化社会が進展しており,慢性腎臓病(CKD)患者や透析患者の増加と高齢化が進んでいる.それに伴って,認知機能障害者が増加し,その対策が喫緊の課題となっている.CKD 患者の認知症の特徴は脳血管型認知症の頻度が高いことで,その対策には高血圧や糖尿病などの動脈硬化の古典的危険因子の管理による予防が最も重要である.その他,レニン・アンジオテンシン系阻害薬や貧血対策,運動療法,生活習慣改善などの有効性が報告されている.透析法や腎代替療法の違いも認知機能に影響する可能性があり,長時間透析,低温透析,腹膜透析,腎移植による認知機能保持効果が報告されている.認知症対策では透析中止や非導入への対策も重要で,アドバンス・ケア・プランニングの普及と保存的腎臓療法の確立が望まれる.
著者
鶴屋 和彦 平方 秀樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1414-1424, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
32

慢性腎臓病患者の貧血は腎性貧血以外にも様々な要因で生じ,赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis-stimulating agent:ESA)治療開始前に原因精査を行うことが重要である.2015年版ガイドラインでは,目標ヘモグロビン値として,血液透析患者で10~12 g/dl,保存期および腹膜透析患者で11~13 g/dlが推奨された.鉄剤については,ESA投与前の患者では血清フェリチン濃度50 ng/ml未満,ESA投与中の患者ではトランスフェリン飽和度(transferrin saturation:TSAT)20%未満かつ血清フェリチン濃度100 ng/ml未満で投与が推奨され,300 ng/ml以上で休薬するよう推奨されている.