著者
中山 昌明 栗山 哲 加藤 尚彦 早川 洋 池田 雅人 寺脇 博之 山本 裕康 横山 啓太郎 細谷 龍男
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1333-1337, 2001-09-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

トラネキサム酸 (tranexamic acid: TA) の投与によりCAPD患者の除水量が増加する現象が報告されているが, これを長期間投与した際の除水効果と腹膜機能への影響に関しては不明である. 我々は, 腹膜透過性は正常範囲にあるものの, 臨床的に十分な除水量が得られない3例に対し, 高濃度ブドウ糖透析液を使用する代わりにTAの少量長期間歇投与を試みた (500mg×3days/week, 18か月間). その結果, 全例において除水量の増加が持続して観察された. 少量のフィブリンの析出が-過性に認められることがあったものの, カテーテルトラブルの発生はなかった. 腹膜透過性は, 1例では明らかな変動は認められなかったが, 2例で上昇する傾向を示した. 以上の観察結果より, TAの本投与法は, 腹膜透析患者の除水量増加に対し臨床的に有効であることが示され, 除水不全に対する新たな治療対策となり得る可能性が示唆された. しかしながら, 腹膜機能に与える影響に関しては明らかではなく, さらに検討を重ねる必要がある.
著者
山本 裕康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.960-966, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では,エリスロポエチン欠乏を主因として貧血をしばしば合併する.また,鉄の代謝に影響を与える要因が多く,その利用効率を低下させることでヘモグロビン合成は阻害される.赤血球造血刺激因子(erythropoiesis stimulating agent:ESA)療法の進歩により,CKDに伴う貧血治療は大きく前進したが,目標Hb値の設定や鉄補充療法についてはまだ課題も多い.