著者
山田 美幸 鶴田 来美 長谷川 珠代
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では独居高齢者に焦点あて、独居による生活の不具合や不安要因を明らかにし、個人の生活に即した介護予防プログラムを開発することを目的とした。平成18年度は、介護予防に関する注意事項や体操を含めた介護予防を目的としたプログラムを作成し、地域の施設等で、のべ179名に実施した。その結果、関節の拘縮や身体機能の低下が見られる参加者があり、これらを予防するために、継続してできるプログラムが必要であることが明らかになった。平成19年度は改良したプログラムをのべ20回実践し、評価を行った。対象者はデイサービスに通所する34名、平均年齢は84.7±4.2歳であった。「布団からの起き上がり」や「いすからの立ち上がり」に対する困難感を抱く傾向があったが、プログラム後はその困難感が減少していた。また、転倒のリスクは「家の中」が多かったが、プログラム後では有意に減少していた。歩行状態は一定距離の歩数が減少し、足の踏み出しが大きくなっていた。続けて、独居高齢者の生活行動パターンと運動量を明らかにするために、3名の自宅に人感センサーを設置した。これによって1日の生活パターンやトイレの回数、室内での部屋移動の状況が把握できた。さらに1ヶ月の情報を得た後、1日あたりの身体活動量を算出し、自宅でできる介護予防プログラムを提供した。また、これを家族が毎日観察し、活動状況によっては家族が高齢者に連絡をするといったコミュニケーションをとる機会にもなっていた。これらの結果より、高齢者は身体機能の低下によっておこる下肢の筋力を使う日常生活行動について不具合や不安を抱く可能性がある。しかし、高齢者の動きを生活活動量として捉え、個別性のあるその人に合った介護予防プログラムを提供することによって、不安や転倒のリスクの減少につながり、効果的であると考える。
著者
蒲原 真澄 塩満 智子 長谷川 珠代 大桑 良彰 鶴田 来美
出版者
宮崎大学
雑誌
南九州看護研究誌 (ISSN:13481894)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.29-36, 2012-03-15

本研究は,総合型地域スポーツクラブに参加している40歳以上の地域住民を対象に,体力・体格とロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)との関連をみた。対象者は,男性64名(26.1%),女性181名(73.9%)の合計245名で,40〜64歳107名(43.7%), 65歳以上138名(56.3%),年齢の平均±標準偏差は64.0±10.4歳であった。 ロコモ疑い有は27.3%であり,年代別にみると,40〜64歳14.0%, 65歳以上42.9%であった。体格・体力とロコモの有無との関連をみるためにMann-Whitney検定を行った結果,ロコモ疑い有の人は疑い無の人に比べてBMIが有意に高かった(p=0.004)。 また,65歳以上で,ロコモ疑い有の人が疑い無の人に比べてBMlが有意に高かった(p<0.001)。 体力とロコモの有無との関連では,65歳以上の10m障害物歩行(p=0.010)と6分間歩行(p=0.022)の項目において,ロコモ疑い有の人が疑い無の人に比べて評価得点が有意に低かった。今回,加齢に伴う体力の変化や体格はロコモに関連していることが示され,ロコモ対策として歩行能力の維持,適正な体重管理の重要性が示唆された。 自己でのロコチェック, 体重管理が重要であり,また,体力・体格に応じた運動・スポーツの選択が重要でそのための支援を行っていく必要がある。