著者
上原 一浩 関 智弘 鹿子嶋 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.593-601, 1995-09-25
被引用文献数
57

従来より,屋内伝搬遅延特性の解析に適用されている幾何光学的解析手法に,任意の送受信アンテナ指向性と偏波の効果を含めて計算するアルゴリズムを組み込んだ.直方体の部屋においてこれらを含めた計算を行う際に必要な角度情報等を,部屋の幾何学的性質から容易に求める手法を示した.本手法によりマルチパス伝搬環境における狭ビームアンテナの遅延波抑圧効果を定量的に示した.例えば,送受信アンテナが共に無指向性の場合に対し,半値角30°のペンシルビームを用いた場合には遅延スプレッドは1/10近くまで低減される.これらにより,屋内高速無線データ通信において高い伝送品質を実現するためのアンテナ半値角や偏波等の設計手法が示された.
著者
丸山 珠美 上原 一浩 鹿子嶋 憲一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.424-433, 1997-05-25
被引用文献数
44

屋内高速無線LAN端末用アンテナは, 設置場所のフレキシビリテイ向上のため小型でかつ全方位をカバーできることが望ましい. しかし高速化を実現する鋭いビームを得るには, アンテナの開口面積を確保する必要があり小型化は困難であった. 本論文は, この小型化を目的として, 円形地板上にモノポール八木・宇田アレーアンテナを周方向に配列したマルチセクタモノポール八木・宇田アンテナ(MS-MPYA: Multi Sector Monopole Yagi-Uda Antenna)を提案し, モーメント法を用いた解析と実験によりその設計を行った. MS-MPYAは金属フィンの設置がアレー間結合によって生じる水平面指向性のビーム割れをなくすのに有効であること, 隣接アレーを用いた指向性制御により水平面の半値幅を10゜小さくできること, 地板の影響により垂直面のビーム幅がアレー長によらず絞られることを示し, これによりアンテナの小型化が可能となることを明らかにした. 本結果をもとにアレー長, 地板長, リフレクタの高さ, フィンの長さで決まるMS-MPYAの設計法を示すと共に, 無線LANに用いる19GHz帯で試作を行い, MS-MPYAがコーナリフレクタを用いた場合の1/3の高さ6mmで所望特性が得られることを明らかにした.