著者
石田 光晴 武田 武雄 斎藤 孝夫 鹿野 裕志 松本 忠 高橋 功
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.496-501, 1988
被引用文献数
4 2

黒毛和種去勢牛8頭を用いて,屠殺前1年間の肥育期間中における皮下脂肪をバイオプシーによって採取し,その脂肪酸組成を調査した.供試牛は4頭ずつA,B2群にわけ,A群は主に濃厚飼料を多給,B群では濃厚飼料と稲ホールクロップサイレージを給与し,飼料による差を検討した.さらに屠殺後の皮下脂肪,筋肉間脂肪および腎臓周囲脂肪の脂肪酸組成を比較した.バイオプシーによる皮下脂肪の脂肪酸組成は,肥育期間中徐々に全飽和脂肪酸の割合が増加し,試料採取開始から最終時期までに8-10%程度増加した.季節的には,寒い時期の12月から2月にかけて,飽和脂肪酸のパルミチン酸とステアリン酸の割合が低くなり,不飽和脂肪酸のパルミトオレイン酸とオレイン酸の割合が高くなった.5月から10月の暖かい時期はその逆の傾向がみられた.飼料別では,A群はB群と比較して,全不飽和脂肪酸の割合は肥育期間中約5%高い値を示したが,飼料の差異は脂肪酸組成に有意な差を示さなかった.この傾向は,屠殺後の各蓄積脂肪においても同様であった.部位別では,体表部に近い皮下脂肪から深部の腎臓周囲脂肪にかけて,全不飽和脂肪酸の割合が減少し,部位間で有意差が得られた.また,皮下脂肪の腹側と背中側では,背中側の方が不飽和脂肪酸の割合がやや高かった.
著者
田山 智規 鈴木 啓一 美川 智 粟田 崇 上西 博英 林 武司 前田 高輝 加地 拓己 上本 吉伸 鹿野 裕志 柴田 知也 児嶋 千尋 西田 朗
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.187-194, 2006-12-26 (Released:2007-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

抗病性に関与する遺伝子を特定するために,ランドレース種について,免疫形質と慢性疾病病変に関する品種内QTL解析を行った。用いた集団は,慢性疾病病変を選抜形質としたランドレース種系統造成の選抜第2世代までの育成豚と調査豚519頭(基礎世代44頭,第一世代205頭,第二世代310頭)である。7週齢時と体重105kg時で採血し,補体別経路活性,貪食能,顆粒球・リンパ球比,総白血球数,羊赤血球に対する抗体産生能などの免疫形質を測定した(抗体産生能は105kg時のみ)。また,各世代の調査豚267頭についてブタ萎縮性鼻炎(AR)と肺の病変を測定し,スコア化した。常染色体18本に合計107個のDNAマイクロサテライトマーカーを配置し,それらの多型判定は,353頭(基礎世代の雌の一部25頭と第1世代204頭,第2世代調査豚124頭)について行った。解析にはIdentical-by-decent(IBD)行列を利用した分散成分分析法を用いた。まず,IBD行列をLOKIプログラムにて推定した。分散成分分析法はSOLARプログラムを用いて行った。解析の結果,総白血球数と貪食能,そして肺の病変に関する有意なQTLが検出された。