著者
高野 勇介 麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.171, pp.67-72, 2008-07-21
被引用文献数
4

本稿では,国道463号線の実道調査結果に基づいて,信号制御評価用シミュレータを拡張した上,高度デマンド信号制御II方式(Advanced Demand Signals-II Scheme; ADS-II方式)の性能評価を行っている.まず国道463号線の一部区間のモデル化とシミュレーションに用いるデータ取得のために実道調査を行う.つぎに調査データに基づき国道463号線の道路構造と系統制御方式をモデル化し,従来の評価用シミュレータに導入する,さらに評価用シミュレータを用いて国道463号線の系統制御方式とADS-II方式の性能比較を行い,ADS-II方式が系統制御方式に比べ,一人当たりの平均アイドリング時間が午前4時台(閑散時に相当)では約70%,午前7時台(混雑時に相当)では約60%削減されることを示している.
著者
麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.419-433, 2009-06-01
被引用文献数
13

本論文では,高度デマンド信号制御II方式(Advanced Demand Signals II scheme;ADS-II方式)を提案した上,新しい歩行者モデルと複数の評価指標を導入したADS-II方式評価用シミュレータを構築し,ADS-II方式の基本性能の評価を行っている.まず,ADS方式から制御パラダイムを転換し,現示の維持を希望するものと変化を希望するものの2種に分類したデマンドに基づき制御するADS-II方式を提案している.このADS-II方式は車両と歩行者に対して統一的なデマンド評価式を用いて適応的な現示を出力する.次に歩行者モデルの構築とその基本検証を行い,本モデルの妥当性を示している.更に歩行者と車両の効率を評価するために,複数の評価指標の追加と再定義を行い,これらを導入した評価用シミュレータを用いてADS方式や系統制御方式との歩行者を含めた性能比較を行い,ADS-II方式は閑散時ほど,また車線数が少ないほど効果が大きく,両側3車線道路で平均車頭間隔が主方向200s,従方向400s,平均歩行者発生間隔4000sの場合,一人当りの平均アイドリング時間が系統制御方式に比べ約70%削減されるなどADS-II方式の有用性を示している.
著者
彌勒地 進 麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.459, pp.113-118, 2010-03-02
被引用文献数
4

本稿では,ラウンドアバウトを含めた信号制御方式の性能評価のためのシミュレータの構築を行った上,ラウンドアバウトと信号化交差点の性能比較を行っている.まず,モデル化したラウンドアバウトの道路形状と車両挙動を,高度デマンド信号II制御方式(Advanced Demand Signal II scheme; ADS-II方式)の評価用シミュレータへ導入している.次に,静的な交通状況においてラウンドアバウトと,最適な連携係数やデマンド関数のべき乗部を用いたADS-II方式,最適なサイクルやスプリットやオフセットを用いた系統制御方式の3者の性能比較を行っている.評価結果より,ラウンドアバウトは閑散時に有効,系統制御方式は混雑時に有効,ADS-II方式は閑散時と混雑時共に有効であることが明らかになっている.閑散時においてADS-II方式と比較した場合,ラウンドアバウトの車両アイドリング時間の90パーセンタイル値は小さくなるが,平均旅行速度は低下する.
著者
麻生 敏正 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.104, pp.7-12, 2005-05-24
被引用文献数
9

本稿では, 著者らが開発した従来の高度デマンド信号制御方式(ADS方式)の交通流シミュレータの改良を行い, いくつかの交通状況でADS方式と系統制御方式の性能比較を行っている.まず, シミュレータの道路モデルの拡張と車両の動作モデルの変更を行っている.そして道路モデルの拡張による不具合が生じないようにするためにADS方式のデマンドの計算方法を変更している.次に, ADS方式と系統制御方式のパラメータの検討が行われ, この結果に基づき, 性能比較を行っている.さらに, 2つの系統制御区域を結ぶ信号機がADS方式で制御された場合と地点制御方式で制御された場合, またこの地域のすべての信号がADS方式で制御された場合の性能比較を行っている.今回検討した交通状況下で, ADS方式は系統系統制御方式や地点制御方式よりも平均アイドリング時間が小さくなることが示されている.さらに幹線道路の交通量に偏りがある場合の検討も行われている.