著者
藤尾 久美 井之口 豪 福田 有里子 黒木 俊介 古閑 紀雄 丹生 健一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.38-43, 2018-01-20 (Released:2018-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

ほかの感覚器と同様, 嗅覚も加齢性変化を来すことが知られている. しかし, 本邦では年齢を考慮した嗅覚機能の基準が報告されていない. 本研究では嗅覚同定能力研究用カードキットであるオープンエッセンス (Open Essence: OE) を用い, 嗅覚の加齢性変化の特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】50歳以上の健常ボランティア50名と50歳未満の健常ボランティア43名に対し OE を施行し, 各嗅素別の正答率について検討を行った.【結果】50歳以上の群では男女とも年齢とともに OE の正答率の低下を認めた. 各嗅素別では50歳未満と50歳以上の2群間で墨汁, メントール, みかん, ばら, 練乳, にんにくの正答率に有意差を認めた. 12嗅素の組み合わせの中で, メントール, みかん, 練乳の3嗅素の組み合わせで50歳以上の嗅覚障害を検出する感度が0.860と最も高くなり, 感度+特異度が1.767となった. この3つの嗅素を組み合わせた検査が加齢性変化を考慮した嗅覚機能のスクリーニングとして有用であると考えられた.
著者
高島 誠司 正木 魁人 黒木 俊介 藤森 祐紀 保科 和夫 岡 賢二 天野 俊康 塩沢 丹里 石塚 修 保地 眞一 立花 誠 八木 瑞貴
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第109回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-14, 2016 (Released:2016-09-16)

【目的】GDNFに次ぐ真正の精子幹細胞増殖因子としてFGF2が同定された。本研究は,FGF2の精巣内発現動態,発現制御メカニズム及び精巣内機能をGDNFと比較することで2つの因子の役割の違いを明らかにすることを目的とした。【方法】マウス精巣サンプルについては,加齢過程,生殖細胞欠損モデル(ブスルファン(44 mg/kg b.w.)処理),再生モデル(ブスルファン(15 mg/kg b.w.)処理),レチノイン酸過剰投与モデル(750 µg/body),下垂体切除モデル(日本SLCより入手)を準備し,免疫染色,定量的RT-PCR,ウェスタンブロットに供した。セルトリ細胞は,セルトリ細胞特異的にヒトNGF受容体を発現するミュータントマウスよりMACSTMを用いて純化した。【結果】まず,精巣におけるFgf2の発現挙動を既知の自己複製因子Gdnfと比較した。Gdnfは加齢に伴い発現低下する一方,Fgf2はどの週齢でも高発現を示した。精上皮周期にそった発現挙動比較では,GDNFが中期で高発現する一方,FGF2は中期に加え前期でも高発現していた。Fgf2発現細胞は既報のセルトリ細胞ではなく生殖細胞及び精巣間質細胞であった。精巣再生モデルではGdnf同様Fgf2の発現も上昇し,精巣再生への寄与が示唆された。FGF2タンパク質の精巣内発現はヒトを含むほ乳類で保存されていた。Fgf2の発現制御メカニズムの解析では,視床下部-下垂体軸の関与が示される一方,レチノイン酸シグナルは関与しないことが示された。Gdnfについても同様の検討を行い,既報通りレチノイン酸投与によるGdnf抑制が確認されたが,下垂体切除についてはGdnf発現上昇という,定説『下垂体由来卵胞刺激ホルモンがセルトリ細胞のGdnf発現を促進する』とは逆の結果が得られた。現在,精巣におけるFGF2の機能について検討中である。