著者
黒田 吉雄 大沢 正嗣 勝屋 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.232-237, 1991-05-01
被引用文献数
2

Butt-rot fungi and decay patterns were investigated on 118 Japanese larch trees (Larix leptolepis (SIEB. et ZUCC.) GORD.), 74〜75 years old, located at the foot of Mt.Yatsugatake, Nagano Pref. Phaeolus schweinitzii (FR.) PAT., Sprassis crispa (WULF.) FR., and an unidentified basidiomycetous fungus (frequencies of isolation : 41,12,and 9%, respectively) were isolated from the trees, but no decay fungi were isolated from 38% of them. The decayed parts in the trunks were 0.9〜23.5cm (average 9.5cm) in diameters at the bases of the trees and were 6.7〜450.0cm (average 115.1cm) above the ground. The diameters and heights differed with the different butt-rot fungi. There was a correlation between the heights of the decay and the volumes of the decayed portions.
著者
大澤 正嗣 黒田 吉雄 勝屋 敬三
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.24-29, 1994

カラマツ高齢林における根株心腐病について富士山麓にて調査した。初めに84本の根株心腐病罹病木を用い,根元腐朽直径,腐朽高および腐朽体積の関係について調査し,次の関係式を得た。腐朽高=0.388+6.90×根元腐朽直径,腐朽体積=-1.90×10<sup>-3</sup>+0.848×根元腐朽断面積。被害実態について23カ所のカラマツ高齢林伐倒跡地を調査した。その結果,罹病率は平均23.4% (範囲3.6~61.0%) であった。上述した関係式を用い,計測した根元腐朽直径から根株腐朽体積を計算した。根株腐朽体積は調査木100本の合計で,平均0.898m<sup>3</sup> (範囲0.135~2.294m<sup>3</sup>) であった。病原菌分離の結果,この地域ではカイメンタケが主に被害を与えていることが明らかとなった。環境要因では,梅齢と傾斜度が根株心腐病の被害に影響を与えていた(腐朽体積=-1.02+0.0292×樹齢,腐朽体積=2.12-0.169×傾斜度)。土壌条件もまた被害に影響すると思われた。これらは長伐期施業を行ったカラマツ高齢林の被害の把握に役立つと思われる。
著者
黒田 吉雄 内田 煌二 佐藤 美穂
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.75-82, 2001-12-25
参考文献数
16

筑波大学演習林が所在する,八ヶ岳東山麓の野辺山ケ原は冷温帯性ミズナラを主体とした,天然生広葉樹二次林が分布している。また,カンバ類が良く発達し混生林を構成しているが,本地にはブナの自生地が確認されていない。この原因解明のため,ブナ・ミズナラの開芽時期と晩霜が発生する時期について,1993年から1998年の6年間に渡って調査した。ブナの開芽は5月2日〜5月24日の間に起こり,開芽期間に22日間の差が認められた。一方,ミズナラの開芽は5月11日〜5月31日の間に起こり,開芽時期に20日間の差が認められ,平均9日(7日〜14日)ブナより遅いことが確認された。開芽日の日平均気温は,ブナで10〜13℃およびミズナラで11〜12℃,また,積算温度(6年間の平均値)も算出した。調査年により晩霜は5月9日〜5月28日の間に発生した。この晩霜発生期間は,ブナの開芽および開葉後にあたりそれが原因でブナの葉の枯死および枯死木も発生した。一方,ミズナラでは晩霜を受けない年もあったが,晩霜を受けても開芽直後および開葉後の葉には可視被害は殆ど認められなかった。このような両樹種の樹種特性の差が分布を規定しているものと推論された。