著者
黒田 忠史 三阪 佳弘 野上 博義 深尾 裕造
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

本研究では、主要五カ国(独・英・日・仏・米)における法曹養成制度と法学教育制度の「歴史的類型」を理念型として析出し(黒田論文「法曹養成の歴史的諸類型」)、それらが近・現代200年にわたる各国特有の国家と法のあり方、および社会構造史的な基礎、とりわけ法律家集団と官僚制の各国あり方によってどのように規定されて成立したのかを明らかにしようと試みた。そのために、各国の歴史的諸制度とその改革の経緯に着目し、そのための史料や文献を収集し分析する作業に取り組んできた。これによって、各国における法曹養成と法学教育の実情が、史料に即してかなり明らかになった。歴史的に概観する研究報告論文の他に、共同研究者による個別的歴史研究としては、まず黒田(研究代表)がアメリカにおいて弁護士事務所での見習教育からロースクールでの法曹養成に転換していった原因とプロセス、法曹団体の役割と性格、およびProfession「理念」について、そしてドイツについてはグナイストの「自由弁護士」論とベルリン法学協会の果たした歴史的役割について研究した。イングランドについては深尾がLaw Society関係史料にもとづき19世紀後半のイギリスでの法科大学院設立運動の隆盛と挫折の過程を分析、フランスについては野上が革命後の弁護士職の歴史と特殊フランス的法律家秩序の変容のプロセスを、三阪が第三共和政初頭における司法官試験導入過程を研究した。三阪と黒田は、日本の司法官試験・弁護士試験と弁護士団体について比較法史的観点から研究をおこなった。本研究の成果の全体については、平成14年10月5/6日に開催される第50回法制史学会研究大会シンポジウム「歴史の中の法曹養成」において報告し、そこでの討論とあわせて公刊することになっている。