著者
黒須 泰行 岩黒 大志
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
国際学院埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
no.29, pp.87-91, 2008

日本の伝統的な和食には,その味の命として,様々な食材のダシが用いられてきた。特にかつお節のイノシン酸,昆布のグルタミン酸,そしてシイタケのグアニル酸は三大旨味成分として位置づけられており,昔から日本料理に欠かせないものとして重宝されてきた。これら旨味成分の中でも,シイタケのダシの抽出には冷水を用いることが,一般的に知られている。これは加熱抽出が当たり前である他の食材のダシと比べてみて,特異なダシの抽出法といえる。また,ダシ抽出に使うシイタケは,乾燥させた干しシイタケである。そこで,本実験では,なぜ一般的にシイタケのダシ抽出は乾燥シイタケを冷水で5時間戻した後に調理するのが良いといわれているのかを検証するために,抽出温度,戻し時間,シイタケの品種によってどう影響するのかを調べた。その結果,抽出温度では,グアニル酸生成に作用するリボ核酸分解酵素と,グアニル酸分解に作用するヌクレオチド分解酵素の2つの活性に影響を与えていることが推定され,抽出時間では,冷水中で乾燥シイタケに含まれるリボ核酸量が約5時間で,プラトー状態に達することが確認され,品種では,肉質の薄い香信が外部の水温の影響を受けやすく,加熱によってリボ核酸分解酵素が働きやすくなり,また成分も流出しやすいことなどが推定された。
著者
黒須 泰行 軍司 篤美
出版者
国際学院埼玉短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02896850)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.91-95, 2007-03

砂糖の約200倍の甘みを呈すると言われているアスパルテームは,低カロリーの粉末甘味料や菓子,清涼飲料水に含まれている。このアスパルテームは人工的に作り出された甘味料であり,この分解物が体に悪影響を与えるといわれ,その安全性は二転三転して,現在も論争は続いている。そこで本研究は,アスパルテームが多量に使用されているダイエット用の清涼飲料水に注目し,アスパルテーム含有量及びアスパルテームの分解性について検討した。その結果,清涼飲料水中のアスパルテーム含量は4〜79mg/100mlであり,ADI2000mgに対して少量であることがわかった。また長期保存や調理過程における条件下で,アスパルテームの分解を確認した。