著者
齊藤 了文
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.271-304, 2005-02-20

In this paper I explain some aspects of reading maintenance. The points discussed are complexity,individualization, heritage of engineering knowledge, and dynamic maintenance. ここでは、メンテナンスに関わる資料を幾つか引用し、整理する。その上でできるだけ統一的な仕方で、社会科学的、哲学的な問題領域を提示することを試みる。 システムの一生のうちで生誕の問題に現代は注目されている。また、廃棄も問題にされている。人工物を使い続けるということは、実は中心的問題であるはずだが、日常的で特に注目されていない。この営みを取り上げる。
著者
齊藤 了文
出版者
日本金属学会
雑誌
まてりあ : 日本金属学会会報 (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.696-699, 2003-10-20
参考文献数
4
被引用文献数
1

エンジニアという専門家は、専門家として非常に奇妙な位置づけにある.これは,医者や弁護士というよく知られた専門家と比べてのことである。専門的知識を駆使し,素人ではおよびもつかない専門的な職業であることはこの3つの職業で共通する。しかし、倫理的行為(他人を配慮する行為)に関しては、エンジニアは少し奇妙な専門家と言われざるを得ない.(もちろん,このことは,エンジニアに変わり者が多いということを言おうとしているのではない.哲学研究者と日ごろ付き合っている私とすれば,エンジニア,工学者は,よほど社会常識をわきまえた人々のように見える.).このように言えるのは,大きく分けて3つの側面がある.一つは,人工物をつくるということを職業にしているという側面である.二つめは,企業内のエンジニアという側面である.三つ目は,公衆を考慮するということが要請されるところから由来する.以下,この3つの側面がどのような論点を含んでいるかを明らかにすることにしよう.