著者
齊藤 史哲
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.39-48, 2015

サプライチェーン上で生じる様々な問題の原因の一つとしてブルウィップ効果が挙げられる.ブルウィップ効果とは,サプライチェーンにおける需要変動が上流に上るにつれて増大するという現象の総称である.サプライチェーンを構成する全企業で最終需要の情報を共有することで,この現象を抑制できることが知られている.しかし,全企業で最終需要に関する情報を共有することや,複数の商品や複数の取引相手に対するその情報を適切に扱うことは困難であり,全体で情報を共有するモデルの適用は現実的ではない.そこで,本研究では各企業が直接の取引相手とのコミュニケーションを通じて知識を共有することにより,ブルウィップ効果を抑制する方法を提案する.本提案では上流側の企業は一段階前で協業する取引相手に関する在庫や発注量のデータ(情報)を共有し,そのデータと発注量との関連性に関するモデル(知識)を構築することで,取引相手との知識共有を実現する.これにより,各段階での需要量と発注量のズレを縮小させることができるため,ブルウィップ効果の抑制が期待できる.提案法の有効性を検証するために,計算機実験を通じて評価を行った.
著者
齊藤 史哲 石津 昌平
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2014年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.181-184, 2014 (Released:2014-08-06)

ベネフィットセグメンテーションは,年齢,性別,職業といった要因に基づく分析ではなく,効用や利用目的といった顧客のベネフィットに着目した市場セグメンテーションの考え方である.これをマイニングの観点からとらえると,教師あり学習が有効になる.しかし,市場分析ではベネフィットと顧客特性の対応付けが重要であり,一般的な教師あり学習モデルはここでは有効に機能しない.そこで,本研究では教師あり自己組織化マップを用いてベネフィットに基づいた方法を提案する.ここでは,ベネフィットを教師信号としてセグメンテーションを行い,さらにそのセグメントの構成内容を2次元平面に配置して可視化することで分析者の理解を支援する.
著者
津村 拓海 齊藤 史哲 石津 昌平
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.161-170, 2017 (Released:2017-11-15)
参考文献数
18

技術情報の複雑化・多様化に伴い,専門知識が異なる技術者や意思決定者の間で技術傾向に関する情報の共有が難しくなっている.こうした中で近年,テキストマイニングに基づいたパテントマップが注目されており,これを用いることで特許データから技術に関する知識の抽出・可視化が実現されている.本研究は,複数の分野を跨いで実用の可能性に富む技術に関する情報の可視化およびそれらに関する知識抽出を行うものである.提案法では出現した単語の情報を属性とし,技術分野などに関する情報をクラスとしたランダムフォレストの学習結果の内部モデルに対する解析を通じて知識抽出を行う.知識抽出にあたり,ランダムフォレストの内部モデルから特許文書間の類似度行列を作成し,多次元尺度構成法によるマッピングを行っている.ここで得られた出力結果に対してカーネル密度推定を施すことによって,適用領域を考慮した文書ベースのパテントマップが構築できる.また,非負値行列因子分解により,単語の類似性に基づいて次元縮約することでランダムフォレストの内部モデルの解釈を与えた.分析対象にはWeb上に公開されている特許に関する文書データを用いて分析を行った.