著者
齋藤 智寛
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

後世の禅宗諸派で祖師と仰がれた六祖慧能の言行録『六祖壇経』と、その関連資料についての考察をおこなった。特に『壇経』に収録される詩歌に着目することで、本書の成立問題と、本書の「心」や「本性」に関する考え方を検討した。その結果、『壇経』の散文部分と詩歌の部分とがしばしば不整合であり編集の痕跡を残すこと、「鏡の臺」や「心地」などの比喩表現が同時代の禅僧とはややちがった『壇経』独自の心性論を反映していることが明らかになった。
著者
齋藤 智寛
出版者
東洋大学東洋学研究所
雑誌
東アジア仏教学術論集 = Proceedings of the International Conference on East Asian Buddhism (ISSN:21876983)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.171-199, 2018-01

「齋藤智寛氏の発表論文に対するコメント」「菅野博史氏のコメントに対する回答」含
著者
齋藤 智寛 佐竹 保子 冨樫 進 川合 安 堀 裕 長岡 龍作 斉藤 達也
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

唐・道宣の編纂した中国の仏教史書『続高僧伝』玄奘伝について、テキストと内容の双方について総合的に研究する。テクスト研究としては宮城県の名取新宮寺一切経本について日本古写経諸本との関係を明らかにし、新宮寺一切経全体の解明の布石ともする。内容については、中国思想・歴史・文学、インド考古学、僧伝文学など分野横断的な記述をもつ玄奘伝の資料価値を最大限に発揮して考察をおこなう。
著者
齋藤 智寛
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

伝・顔師古撰『玄言新記明老部』について、その作者問題と『老子』注釈史上の位置づけについて一定の見通しを得た。特に、科段説と章指についての見解から、『明老部』が六朝より唐初の老学史について、貴重な情報を提供する資料であることを確かめた。『明老部』によれば、斉・梁以来、『老子』注釈書は儒仏二教同様に科段を採用したが、該書はそれに反対しつつ、章序の意義を説く章指は温存する、過渡的性格を持つ注釈書である。