著者
植村 立 三嶋 悟 中村 光樹 浅海 竜司 加藤 大和 狩野 彰宏 Jin―Ping Chen Chuan―Chou Shen
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>東アジア地域においては、最終退氷期の温暖化の開始タイミング及び気温変動の大きさについて統一的な見解は得られていない。石筍は正確な年代測定ができる点で重要な陸域の古気候アーカイブである。一方で、石筍の炭酸カルシムの酸素同位体比は、滴下水と温度の2つの要因に影響されるために定量的な解釈が困難である。本研究では、東アジア地域の最終退氷期における温暖化のタイミングと気候変動を定量的に復元するため、南大東島で採取された石筍の流体包有物の水の酸素・水素同位体比分析を行った。また、独立した手法により気温復元の妥当性を検証するため、炭酸カルシウムの二重置換同位体比を用いたClumped isotope の分析を行った。本発表では、Heinrich stadial 1 (H1)からBølling-Allerød(BA)期への温度変化とタイミングについて議論する。</p>
著者
大嶺 佳菜子 植村 立 眞坂 昂佑 浅海 竜司 Chuan―Chou Shen
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p> 日本においてはウラン濃度の低さからU/Th年代を適用できる石筍試料は少なく、完新世を含む石筍のデータには数百年の年代誤差がある (Sone et al., 2013)。そこで、本研究ではU/Th年代法によって絶対年代を決定することができると予測される沖縄県南大東島の石筍 (HSN1、全長246 mm) の年代測定と炭酸カルシウム、流体包有物の同位体比測定を行い、降水同位体比変動の復元を行った。試料のU/Th年代は、国立台湾大学で18点測定した。HSN1はウラン濃度が高く、<sup>232</sup>Th濃度が低いためにU/Th年代が高精度に決定できた。年代は6000±62から7362±44年であり、年代モデルは全長にわたって±60年の精度で決定することができた。成長速度は比較的早く(180μm/yr)、連続的に成長していた。</p>
著者
大嶺 佳菜子 植村 立 眞坂 昂佑 浅海 竜司 Chuan―Chou Shen Mahjoor Ahmad Lone
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.54, 2016 (Released:2016-11-09)

石筍の炭酸カルシウムの酸素安定同位体比は降水変動を反映していると考えられているが、定量的な解釈は容易ではない。石筍に含まれる流体包有物の水の酸素・水素安定同位体比は、過去の降水の同位体比変動そのものを復元できる可能性が高い。本研究では、沖縄県南大東島の石筍の年代測定、各種安定同位体比測定を行い、完新世の降水同位体比変動と気温変動の復元を行った。試料は、沖縄県南大東島星野洞の石筍 (HSN1) を用いた。HSN1の年代は約6,000-8,000年であった。成長速度が早く、高時間分解能での気候復元が可能である。炭酸カルシウムの酸素安定同位体比の数百年スケールの変動は、太陽活動の指標である大気のδ14Cの変動パターンと類似していた。