- 著者
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萩原 英敏
Hidetoshi HAGIWARA
- 出版者
- 淑徳短期大学紀要委員会
- 雑誌
- 淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
- 巻号頁・発行日
- no.44, pp.29-48, 2005
不和状態の親に対して、子どもの目から見て、どの様な親子関係を築いているかを明らかにする為、某女子大学生141名を対象として、「家庭環境の内容」「両親の争いの時の対処の仕方」を尋ねる26項目からなるアンケート調査、親子関係を調べるFDTを実施した。その結果、次の様な事が明らかになった。1.両親の不和など家庭内の対立が多く、不仲な関係が続くと、子どもは対母親、対父親両方共通して、「自分を情緒的に受容する事もなく、信頼もせず、拒絶するのみである。そして両親の考えも一致せずお互い不満が多い。それなら自分も両親との接触を避け、関わりをできるだけ持たないようにしよう」と考える様な、親子関係を築いている。2.この様な親子関係を築いている子どもは、両親の不仲な時の対処として、内面的に思い、また感じ、巻きぞえ的行動を起こす者に多く見られた。3.両親の不仲な時の対処の仕方で、対父親は、対母親に比べて、特徴ある親子間係は築いていなかった。4.以上の事から、両親の不和の時、対処の仕方が、内面的思い、また感じ、巻きぞえ的行動を起こす子どもは、親に対して、安全基地の役割を期待するような、親子関係を築けていない事が明らかになった。しかも父親より母親に対して、この特徴が明確に示された。