著者
萩原 英敏 Hidetoshi HAGIWARA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
no.53, pp.39-52, 2014-02-25

乳幼児期の親子関係の問題が、青年前後の時期の人格に-ここでは臨床的症状の中で、不登校と神経性食欲不振症を取り上げる-どう影響するのか、先行研究、統計資料、筆者を含めた臨床ケースなどから分析したところ、3歳未満児保育の問題点が、以下の様に浮かび上がってきた。1.3歳未満児の正当性でよく引用されている、菅原の縦断的研究は、青年期前後の対象者の少なさ、又調査対象を途中でドロップアウトした対象者をコントロール群に用いていないなど、その研究結果の信憑性に問題が残る。2.3歳未満児保育対象者の増加と、不登校発症児の増加は、有意に高い相関を示し、3歳未満児保育が不登校の原因の1つと考えられる。3.不登校や神経性食欲不振症の臨床ケースから、その根本原因を追及すると、乳幼児期の親子関係の問題が浮上してくる。これは3歳未満児保育の存在そのものに、疑問を投げかけるものである。
著者
水野谷 憲郎 Norio MIZUNOYA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.81-94, 2013-02-25

前紀要にて、東大寺南大門仁王像の迎角は確かに存在し、その迎角を想定して当初より造像されていると述べた。しかし、それは実証的根拠に乏しいものであった。この度美術院より「東大寺南大門金剛力士像修理報告資料写真」をお借りすることができた。それらの資料写真が見せる東大寺南大門仁王像の各部位が有する傾斜角を調べた結果、迎角があると結論するとともに前紀要で想定した傾斜角度はさらに急激であり、仁王像は当初より東西に向かいあう立ち位置にあったと判断した。
著者
藤田 佳子 Yoshiko FUJITA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.181-196, 2013-02-25

パネルシアターは1973年に古宇田亮順が創始して40年が経ち、現場では多方面で活用されてきているが、研究の場ではまだまだ絵本や紙芝居と比べて論文や著作が少ない。ここでは、パネルシアターが誕生するまでを古宇田亮順の半生を振り返ることによりまとめた。第二次世界大戦の少し前に上野の寺で生まれ、物がない時代に育った古宇田は幼少期、工夫をして遊ぶことや紙芝居の面白さに触れる。大正大学に入学してからは、児童研究部に所属し、子どもたちの幸福のために熱心な部員とともに活動した子ども会活動の中で、人形劇等の上演を通して喜んでもらえること、その喜びを共有することを学んだ。そのためにはたゆまぬ努力と研究があった。現状だけでは満足しない古宇田は、失敗を重ねながら遂にパネルシアターを生み出した。そこには、作画の松田治仁との出会いも大きく関わっている。松田の絵を活かすために、そしてお話の構成を膨らますためにと探した結果、1972年パネルシアターに適した素材、不織布(三菱製紙MBSテック130番、180番)を見つける。その不織布をのちに「Pペーパー」と名付ける。その後、30以上の作品を製作した後、1973年に「パネルシアター」と命名して、発表する。このパネルシアターの発見には、古宇田の「人に喜んでもらいたい」「必要なものは必ず見つかるという信念」をもった生き方・考え方があったからこそ生まれたのだと確認した。
著者
大須賀 隆子 Takako OSUGA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.127-149, 2012-02-25

「大地保育とは、太陽と水と土に象徴される自然を充分に取り入れる自由保育方式の総称」であり、「創美(創造美育協会)の精神から生まれたものだ」1)と塩川豊子注1)は述べている。本論文では、倉橋惣三が実践した保育論を基に自由保育について定義し、戦後日本において自由保育をタイトルとして書かれた4冊の書籍を概観することを通して、塩川豊子が実践した自由保育の特色が、「どろんこ保育」「自由画の指導」「食事場面と午睡場面の自己決定」にあると捉えた。この3つの保育実践が、戦後大きく影響を受けたと塩川豊子が言う創美とりわけ宮武辰夫、そして創美を通して学んだと言うホーマー・レインとA.S.ニイルの教育思想とどのように関連しているかを考察することによって、塩川豊子の自由保育の根幹にあるものを明かにしようと試みた。
著者
萩原 英敏 Hidetoshi HAGIWARA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.39-52, 2014-02-25

乳幼児期の親子関係の問題が、青年前後の時期の人格に-ここでは臨床的症状の中で、不登校と神経性食欲不振症を取り上げる-どう影響するのか、先行研究、統計資料、筆者を含めた臨床ケースなどから分析したところ、3歳未満児保育の問題点が、以下の様に浮かび上がってきた。1.3歳未満児の正当性でよく引用されている、菅原の縦断的研究は、青年期前後の対象者の少なさ、又調査対象を途中でドロップアウトした対象者をコントロール群に用いていないなど、その研究結果の信憑性に問題が残る。2.3歳未満児保育対象者の増加と、不登校発症児の増加は、有意に高い相関を示し、3歳未満児保育が不登校の原因の1つと考えられる。3.不登校や神経性食欲不振症の臨床ケースから、その根本原因を追及すると、乳幼児期の親子関係の問題が浮上してくる。これは3歳未満児保育の存在そのものに、疑問を投げかけるものである。
著者
浅木 尚実 Naomi ASAGI
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.77-90, 2012-02-25

ジョージ・クルックシャンクは、19世紀ヴィクトリア朝時代に活躍したイギリスの画家である。グリムの『ドイツ民衆物語集』の最初の英語版やディケンズの『オリヴァー・ツィスト』の挿絵で好評を得た。パノラマ絵本やオリジナルのグリム昔話等の子どものための挿絵に見られる動きのある時間と空間の表現形式は、現代絵本にも影響を与えている。しかし、高い技術力を有する画家という評価の一方で、「絵本においては二義的な存在」であると指摘されている。本論では、クルックシャンクの作風や作品の特徴を探ることによって、現代の児童文学史において、絵本画家としての評価を受けてこなかった要因を明らかにする。
著者
萩原 英敏 Hidetoshi HAGIWARA 淑徳短期大学社会福祉学科 Shukutoku Junior College
出版者
淑徳短期大学紀要委員会
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-31, 2011-02-25

情報機器の使用が人格にどう影響するかを知る為、首都圏の短大生260名(女性)、大学生(女性191名、男性152名)、計603名を対象にアンケート調査を行った。そして、今回の報告はその1として、短大生と大学生の差、男女の差を中心に、青年の情報機器の使用と生活の実態を調べたものである。その結果、以下の事が明らかになった。1.情報機器の使用に関して、短大生と大学生で有意な差が認められたものは、次の6つの項目である。(1)一番使用する機器で、短大生の方が「携帯メール」を挙げた者が多い。(2)視聴の全時間は短大生の方が長い。(3)携帯メールの使用時間は、短大生の方が長い。(4)携帯インターネットの使用時間は、短大生の方が長い。(5)携帯読書の使用時間は、短大生の方が長い。(6)一日のメール数では、短大生の方が多い。2.情報機器の使用に関して、男女間で有意な差が認められたものは、次の2つの項目である。(1)男性が携帯ゲームの使用時間が長い。(2)インターネットの使用時間は、女性の方が男性より長い。3.現在の生活や考えで、短大生と大学生で有意な差が認められたものは、次の2つの項目である。(1)絵・写真や音楽の情報は短大生が好き。(2)短大生は「親」に一番認めてもらいたいと考えてる者が多い。4.現在の生活や考えで、男女間で有意な差が認められたものは、次の2つの項目である。(1)男性が排便で、「スムーズ」な者が多い。(2)女性が眼に疲れを感じるものが多い。
著者
芹川 博通 Hiromichi SERIKAWA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.107-144, 2004-02-25

国家 (政治) と宗教 (団体) のかかわりは、人間の歴史や文明と共に古い。文明の草創期においては、宗教的価値規範が統治者の意志決定を支配し、聖俗の社会組織の分化が明確でなかったので、国家と宗教との関係が問題となることはなかった。しかし、普遍的な理念や価値をもつ世界宗教が成立する一方で、固有の主権を主張し、国境を設け、独自の統治組織をもつ国家が確立していくにつれ、宗教と国家との関係が拮抗し、これらの間に、種々の形態を生みだした。国家と宗教との関係には、大別して、国家と宗教が合一している政教一致型と、その間が分離している政教分離型がある。さらに前者のなかにも、宗教が国家を支配するときは、神権政治や祭政一致制度を生み、国家が宗教を支配する状況では、国家は宗教を政治的に利用し、国教制や宗教の公認制をつくった。後者の政教分離型は、おおくが近代思想のもとに発生したもので、国家と宗教は法律や制度のうえで分離される。この場合にも、さまざまなものがある。ここでは、国家 (政治) 権力と仏教とのかかわりの一例を、中国晋代の慧遠 (三三四~四一六) と沙門不敬王者の問題を中心に考察するものである。
著者
吉田 博子 藤田 佳子 Hiroko YOSHIDA Yoshiko FUJITA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.131-143, 2007-02-25

近年の子ども・若い親・保育者志望学生を取り巻く生活文化環境を児童文化の視点から把握する目的のもとに、保育所における児童文化の現状(絵本・紙芝居・パネルシアター・テレビ)について保育者養成課程在学生(保育所実習を経ている学生)を対象に質問紙調査を行った。その結果、この4つの児童文化はどれも日常的な保育活動として活用されており、その方法、場面、子ども達の受け入れなどにそれぞれの違いや特徴が明らかになった。親世代が活字より映像を好む世代になるとともにテレビ・ビデオ利用への寛容度が増し、今後ますます子どもの生活に取り入れられ活用される児童文化になると予想される。現状でも各家庭でのテレビ・ビデオ視聴はきわめて早期から始まっており、視覚映像メディアが児童文化として利用される傾向が増大することはいまや否定できない潮流であろう。本来子どもたちは対面で接することにより安心感や暖かさ、居心地のよさを感じ、verbel-nonverbalのやりとりを通してコミュニケーション力、対人関係力、生きる力を学び高めていく。であれば子どもの生活や遊びの充実のためにも「対面文化」の重要性を見直し再認識することが肝要である。また、対面文化である絵本・紙芝居、パネルシアターを継承すべき対面文化として子どもの心に届く児童文化として与えられる表現力・技術力・支援力を持つ保育者の養成が求められる。さらに、親世代・保育者・保育者志望学生の児童文化観・メディア観の育成、児童文化の媒介者としての自覚、児童文化環境づくりがますます重要になると考える。
著者
矢治 夕起 Yuki YAJI
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.85-96, 2014-02-25

米国による本土空襲が必至となる中、1944(昭和19年)4月、東京都は都下の公私立幼稚園に対して休園・閉鎖、もしくは戦時託児所への転換を求める通牒を出す。多くの幼稚園が休園・閉鎖に向かう中、戦時託児所に転換して保育を続ける園も僅かながら存在した。その一つ、1941(昭和16)年に開園した江戸川双葉幼稚園は、1944年7月1日付で戦時託児所へと変わる。戦時託児所は、ほぼ年中無休で長時間保育をするよう規定されていたが、江戸川双葉戦時託児所では戦時託児所への転換後も、幼稚園時代とほぼ変わらない保育が続けられていた。東京都は幼稚園から戦時託児所に転換したすべての園に対して、戦時託児所としての基準の遵守を強く求めていたのではなかった実態が明らかになった。
著者
佐藤 純子 Junko SATOH 淑徳大学短期大学部こども学科 Shukutoku University Junior College
出版者
淑徳大学短期大学部紀要委員会
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.63-80, 2015-02-25

ラーニング・ストーリーとは、ニュージーランドの多くの教育や保育現場において用いられている観察記録の一つの方法である。本研究では、C保育園(後に対象児は、P保育園に転園。P保育園においても調査を継続)において、当時4歳児であったリリコの2年間を観察した。具体的には、K保育士にラーニング・ストーリーの手法に基づいた観察記録を蓄積してもらい、定期的に園全体で振り返る機会を設けた。そして、1 その記録をニュージーランドの幼児教育カリキュラムである「テ・ファリキ」と日本の「保育所保育指針」の双方と照合することによって保育士自身の保育観に影響や変化をもたらすのか、2 観察記録で得られた成果を次の日からの保育実践に活かすことにより、子どもの発達に効果が表れるのかを分析した。ラーニング・ストーリーに記されたリリコの活動を「テ・ファリキ」と照合した結果、保育者に対しては、「保育を客観的に観る力」と「子どもの内なる声を聴く力」を養成していたことが明確となった。また、対象児の発達面でも変化が見られ、とりわけ社会性と表現能力の両面が育まれていた。