著者
石井 照久 菊池 友希子 立花 希一 望月 一枝 ISHII Teruhisa KIKUCHI Yukiko TACHIBANA Kiichi MOCHIZUKI Kazue
出版者
秋田大学教育推進総合センター
雑誌
秋田大学教養基礎教育研究年報 (ISSN:13449311)
巻号頁・発行日
no.14, pp.47-54, 2012-03-26

日本語原作のマンガや文芸作品などでは.登場人物の性別が明かされずに物語が進み,途中で,性別が明かされることがある。この手法は,読み手の想像をかきたて物語を面白くする効果がある。それではそういった日本語原作のマンガや文芸作品が他の言語に翻訳された場合はどうなるのだろうか?英語や独語では,主語を省略することがほとんど不可能であるし性別が明白な代名詞を用いる。そこで本研究では,登場人物の本当の性別を伏せて物語が進む日本語作品が英語や独語に翻訳された場合に,どのように表現されたり,工夫されたりしているのかを解析した。その結果,日本語原作の直訳に近い翻訳例,逆に原作に忠実でない意訳された翻訳例が見出された。さらに原作よりも早く性別を明かしてしまっている翻訳例も見つかった。これらの翻訳は,翻訳者が日本人かどうかによって異なるようであった。本報告は,秋田大学教養基礎教育科目「総合ゼミ」の講座C「文化にみられる性」において、平成23年度I期の授業で展開された成果報告でもある。