著者
森永 康子 Frieze Irene H. Li Manyu 青野 篤子 周 玉慧 葛西 真記子
出版者
神戸女学院大学
雑誌
神戸女学院大学論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.101-111, 2011-06

本研究は、日本、台湾、米国の大学生のデート暴力の特徴を報告したものである。3カ国の男女大学生に、葛藤解決方略尺度(Conflict Tactics Scale; Straus,1979)を用いて、交際相手に与えた暴力および非暴力的攻撃、交際相手から受けた暴力おやび非暴力的攻撃の回数について回答を求めた。分析は回答者の中から現在あるいは過去に交際相手のいる者あるいはいた者を対象として行い、3カ国の暴力や非暴力的攻撃の実態について検討した。非暴力的攻撃の場合には、生起頻度が50%を超えるものもあり、国や性別による差異もうかがえたが、全体の割合では3カ国を通じて女子の方が男子よりも攻撃の頻度が高く、また米国の女子学生は日本の女子学生よりも攻撃的であった。一方、暴力に関しては、激しい身体的暴力そのものの生起頻度が少なく、性別や国による差異は見られなかった。また、交際相手との暴力が相互的かどうかを検討したところ、3カ国ともに暴力や攻撃のないカップルが多かったが、暴力をふるう回答者のみに注目した場合には、カップルのどちらか一方が暴力をふるう場合よりも、相互に暴力的なカップルのほうが多かった。こうした結果について Straus (2008) の結果と比較検討し、考察を行った。