著者
金城 昇 野原 賢一 Kinjo Noboru Nohara Kenichi
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.11, pp.45-60, 2004

本研究の目的は、病院(整形外科等)・リハビリ施設・整体・鍼灸・マッサージなどへの受診を繰り返す高齢者に動作法を適用することにより、このような高齢者の重複受診傾向の改善及び健康志向の向上の可能性について言及することである。沖縄県H町K区において、整形外科的障害はないにも関わらず、肩や腰、膝などの痛みによる重複受診傾向がある高齢者へ動作法を適用した結果、「病院や鍼・マッサージとは違う」、「自分でも痛いところは治せるんだねえ」、「自分で治すという気持ちが大事なんだな」などの感想が聞かれた。これらは、動作法を通して高齢者の心の中に「自分のからだは自分で治す」という意識が芽生えたことを示唆するものである。動作法の実施後、この意識の芽生えにより、肩や腰、膝などの痛みの発生に伴う種々の医療施設への重複受診傾向が改善された。さらに、「適度な運動に加え、日常生活での余分な緊張を解き、適切な姿勢を保っていくことで、自らの健康を維持・増進していく」という健康志向の向上を見ることができた。尚、本事例研究における高齢者への動作法の実践及び本実践報告の作成は主に野原が全面的に進め、補完的に金城がアドバイスしたものであることを付しておく。
著者
金城 昇 嘉陽 宗芳 野原 賢一 後呂 健二 金 福柱 Kinjo Noboru Kayoh Muneyosi Nohara Kenichi Ushiro Kenji Kin Fukutyu
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.11, pp.61-85, 2004

2003年6月から7月にかけ、沖縄県内のS小学校4,5,6年生を対象に、ライフスキル形成を目的とした喫煙防止教育を行った。本実践は初めに、タバコの害や影響に関する知識を深め、それに基づきタバコの広告分析の授業、喫煙を勧められた際の良い断り方の習得を目指した授業へと系統立てて実施した。児童から出されたアイディアや授業後の感想をPPモデルで分析した結果、児童は喫煙による急性影響、長期影響、環境タバコ煙の影響についてそれぞれ理解し、その知識を基に家族とのタバコに関する対話がなされたことが示された。さらに、喫煙による事実とタバコ広告に隠されたテクニックとを対比し、その矛盾点を明らかにするとともに、喫煙を勧められた際に、相手を尊重しつつ自分の意思をはっきりと伝えるスキルの一定程度の習得がみられた。尚、本実践研究は、本学大学院教科教育専攻保健体育専修の科目である「保健体育科教育法特論」「保健体育科授業研究・教材開発」の一環として、S小学校から依頼のあった喫煙防止教育について院生が中心となり実践・分析・検討してまとめたものである。