著者
井ノ崎 敦子 大辻 隆夫 大辻 隆夫 OTSUJI Takao
出版者
京都女子大学発達教育学部
雑誌
京都女子大学発達教育学部紀要 (ISSN:13495992)
巻号頁・発行日
no.6, pp.61-71, 2010-02

本研究は, DV被害女性のためのサポートグループの開発とその効果について検討することを目的とした。研究1では, DV被害女性のためのサポートグループの効果に関する仮説を提示することを目的として, サポートグループに参加した7名のDV被害女性のプロセス分析を行った。その結果, 1.DV被害への囚われ, 2. DV被害の客観的理解, 3.過去のトラウマ体験への直面, 4.自己肯定感の表明, 5.現在最も深刻な被害への直面, 6.現実的対処の提案という6つの段階を経て心理的自立を促進させるという仮説が見出された。続く研究2では, 研究1で提示されたサポートグループの効果に関する仮説を検証するために, 別のグループに参加した3人のDV被害女性のプロセス分析を行った。その結果, 5の段階を除く, 5つの段階(1~4, 及び6)が妥当なものとして確認された。これにより, サポートグループの効果に関する仮説はほぼ支持されたと言える。