著者
Falko JUDT Daniel KLOCKE Rosimar RIOS-BERRIOS Benoit VANNIERE Florian ZIEMEN Ludovic AUGER Joachim BIERCAMP Christopher BRETHERTON Xi CHEN Peter DÜBEN Cathy HOHENEGGER Marat KHAIROUTDINOV 小玉 知央 Luis KORNBLUEH Shian-Jiann LIN 中野 満寿男 Philipp NEUMANN William PUTMAN Niklas RÖBER Malcolm ROBERTS 佐藤 正樹 澁谷 亮輔 Bjorn STEVENS Pier Luigi VIDALE Nils WEDI Linjiong ZHOU
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.579-602, 2021 (Released:2021-06-10)
参考文献数
68
被引用文献数
26

近年のコンピューターとモデル開発の進歩により、全球ストーム解像モデルの時代が始まり、それに伴って気象や気候予測が一変する可能性を秘めている。本研究では、この新しいクラスのモデルを検証するという一般的なテーマの中で、9つの全球ストーム解像モデルについて、熱帯低気圧(TC)をシミュレートする能力を評価した。その結果、大まかにいえば、これらのモデルは現実的な熱帯低気圧を再現し、熱帯低気圧の強度の正確なシミュレーションを可能とするなど、全球モデルの長年の課題が解消されていることが示された。一方、TCはモデルの設計に強く影響され、全てのモデルはTCの数、強度、大きさ、構造に関して独自のバイアスを持っている。いくつかのモデルは他のモデルよりも優れたTCをシミュレートするが、全ての点で優れたモデルが存在するわけではなかった。全体的な結果は、全球ストーム解像モデルがTC予測の新時代を切り拓くことが可能であることを示しているが、その可能性を最大限に引き出すためには改良が必要である。