著者
黒山 竜太 益田 仁 柳詰 慎一 脇野 幸太郎 Ryuta KUROYAMA Jin MASUDA Shinichi YANAZUME Kotaro WAKINO
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.89-95, 2013

本研究は、救護施設における現状を踏まえた上で、利用者と施設職員にどのような心理的ニーズがあるのかを探索することを目的としたものである。救護施設の現状としては、社会情勢が揺れ動く中生活保護法のうえに成り立つ救護施設において、利用者の自立支援を促すためには様々な阻害要因が横たわっていることが窺えた。施設利用者については、その背景的要因を踏まえた上での心理的支援、とりわけ個別支援計画の作成や地域生活移行における心理的支援の必要性が示唆された。施設職員については、福祉施設全般としてメンタルヘルスへの啓発や職務に対する客観的理解および裁量度、利用者についての理解、チームでの相互の意思確認などの重要性が示唆された一方、救護施設自体の特性を考慮した上での支援については検討の余地が残されていることも明らかとなり、今後の課題が示された。This report considered the present state of public assistance institutions and the psychological needs of the people in such facilities. Now, public assistance institutions exist under the Livelihood Protection Law. Therefore, it was understood that people's self-reliance is checked by various factors. For people in facilities, it was suggested that the psychological supports based on a background factor is necessary. Especially, it was suggested that the psychological supports on designing individual support programs and the relocation from residential institutions to community living are necessary. Otherwise, for workers in facilities, it was suggested that mental-health education and objective understanding for their own jobs and the degree of discretion of their jobs and understanding about people in facilities and mutual intentions check in a team are important in all over social welfare institutions. On the other hand, it was indicated that the discussion about the support of public assistance in stitutions is insufficient. Future research topics are shown.
著者
黒山 竜太 下田 芳幸 Ryuta KUROYAMA Yoshiyuki SHIMODA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-20, 2010

本研究では、大学生の感じるストレスに対してストレスコーピングのあり方がどのように関連しているか、特に先延ばし傾向が及ぼす影響について男女別に検討した。対象者は大学生315名であった。質問紙は、ストレスコーピングに関連のあるとされる共感尺度、先延ばし傾向尺度、対人ストレスコーピング尺度、ストレス反応尺度で構成された。「抑うつ不安」「不機嫌怒り」「無気力」からなるストレス反応について重回帰分析を行った結果、男子では全てのストレス反応に対して先延ばし傾向の影響が大きいことが明らかとなった。また、女子では先延ばし傾向よりも被影響性の影響が大きいことがわかった。以上よりストレス反応に影響を与える傾向やコーピング手段が男女で異なり、ストレス反応の低減のために男子は問題を後回しにしないことや独りよがりにならないこと、女子は男子の傾向に加えて周囲に影響を受けすぎないことが重要であることが示唆された。