著者
KASAHARA Yuji GOTO Hirozo SHIMADA Yutaka SEKIYA Nobuyasu YANG Qiao TERASAWA Katsutoshi
出版者
和漢医薬学会
雑誌
和漢医薬学雑誌 = Journal of traditional medicines (ISSN:13406302)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.51-57, 2002-04-20
参考文献数
24
被引用文献数
2

自然発症高血圧ラット(SHR)摘出胸部大動脈におけるキサンチン-キサンチンオキシダーゼ(XOD)誘発血管収縮反応に対する桂皮エキスおよびケイヒアルデヒド(CA)の収縮抑制作用についてオルガンバス法を用いて検討した。キサンチン-XOD誘発血管収縮反応は,SHR対照群と比較して,桂皮エキス(10^<-4>g/ml)前処置群,CA(10^<-4>M)前処置群で,有意に抑制されていた。キサンチン-XOD収縮反応時のトロンボキサンB_2(TXB_2)産生量は,SHR対照群と比較して,桂皮エキス(10^<-4>g/ml)群,CA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。CAのTX産生抑制の機序を検討するため,フォスフォリパーゼA_2(PLA_2)誘発血管収縮反応に対する収縮抑制作用について検討したところ,PLA_2誘発血管収縮反応はSHR対照群と比較して,CA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。PLA_2収縮反応時のTXB_2産生量は,SHR対照群と比較してCA(10^<-4>M)群で,有意に抑制されていた。以上のことから,桂皮は,血管収縮因子であるTXA_2抑制作用を持つ生薬である可能性が示唆された。
著者
谷川 聖明 GOTO Hirozo NAKAMURA Norio TANAKA Nobumitsu HATTORI Masao ITOH Takashi TERASAWA Katsutoshi
出版者
和漢医薬学会
雑誌
和漢医薬学雑誌 (ISSN:13406302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.45-50, 1999-07-20
被引用文献数
6

桂皮の血流改善作用については古くから知られており,これに関連した報告はあるものの,その詳細な検討はなされていない。今回我々はマグヌス法を用いて,ラット胸部大動脈輪状標本における桂皮含有クンニンの血管作動性について検討した。桂皮含有タンニンは,プロスタグランディンF_<2α>(PGF_<2α>)の血管収縮に対し,内皮保存血管において濃度依存性に血管弛緩作用が認められた。しかし,内皮除去血管及ぴN^G-nitro-l-argininemethyl ester(L-NAME)前処置内皮保存血管においては,血管弛緩作用はほぼ消失した。以上より,桂皮含有タンニンの血管弛緩作用は内皮依存性であることが明らかとなった。桂皮含有タンニンをさらに二量体から五量体までのタンニン画分に分取し検討したところ,二量体以上の重合したタンニンにおいて血管弛緩作用が認められた。また,重合度が増すに従い血管弛緩作用はより低い濃度で発揮され,作用も増強されることが明らかとなった。