著者
菅野 博之 大塚 英志 泉 政文 山本 忠宏 本多 マークアントニー 大内 克哉 Hiroyuki KANNO Eiji OHTSUKA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Mark Anthony HONDA Katsuya OUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

WEB上にまんが表現が移行するということは、「単行本」や「雑誌」がWEBの環境下で新たな適応を求められることを意味する。現在のまんが表現は「コマ」を映画の1カットに見立て「モンタージュ」的に接続する一方、2頁単位の「見開き」に「構成」として配置するものであるが、そのような方法はWEB上では一度解体する。本研究では「横スクロール」形式によってiPadなどのタブレット上に帯状に描かれたまんがを表示する技法において、紙のまんがに替わる新しい文法形式を検証するため、中世の絵巻物「信貴山縁起」の手法の解析を行った。その結果、画面を上下二分割する中心軸上で読者の視線を上下させる技法を確認し、それがiPad対応の横スクロールまんがにも用いることができることを確認した。その他「異時間図法」など、絵巻の技法は応用可能であることが確認できた。「絵巻」と「横スクロール形式のWEBコミック」の方法上の互換性は高く、そこに「紙のまんが」や「アニメーションの技法」をどのようにあらためて導入するかが次の重要な課題である。Transitioning the presentation of MANGA on the web means that a new adaptation under the web environment is desired for the presentational syntax of MANGA, which has been defined through print media such as 'books' and 'magazines'. The current presentation of MANGA is something that is a continuation of 'frames' selected as 1 scene of a video and joined in a 'montage'-like manner, arranged as a 'composition' in two-page unit 'spreads', however this type of method is momentarily demolished on the web. In this study, we performed an analysis of the techniques of the medieval picture scroll "The Legend of Mount Shigi(Shigisan-engi)", in order to verify the new syntactical form taking the place of 'paper MANGA', through the technique of displaying comics drawn as a strip for tablets such as the iPad via a 'horizontal scroll' format. Those results confirmed a technique of causing the reader's line of sight to go up and down via a core dividing the image into two upper and lower parts, and confirmed that it can also be utilized for horizontal scroll MANGA for the iPad. We were able to confirm that others picture scroll techniques such as 'drawing of different times.
著者
本多 マークアントニー 泉 政文 山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 Mark Anthony HONDA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

WEB表現へのまんがの適応について、その方向性として、①縦及び横の「スクロール形式 」、②「見開き」に基づくまんがの文法を解体し、一頁単位の表示に基づく文法にシフトした形式 、③静止画のスライドショー形式、の3つが仮説としてたてられ、今回の共同研究では、①のうち「縦スクロール形式」と③の「スライドショー形式」について、そこで採用されるべき文法を仮定し、それに基づき実験作品を制作した。縦スクロール形式においては日本まんが表現の「映画的手法」をいかに導入するかに研究の主眼を置いた。その結果、アイレベルを基準とし、それに続くコマでのアングルの極端な切り換え、コマの縦幅の極端な変化における「尺」(時間)の表現などの、紙媒体で成立した手法の中心的な部分が、WEBへの置き換えが可能であることが確認された。その結果、「横スクロール形式」よりも「縦スクロール形式」の方が映画的手法の移植に向いているという仮説が新たに得られた。また「横スクロール」においては、画面の天地ほぼ中央に視線誘導の基準となる中心線を置くことで視覚の流動性を確保したが、「縦スクロール」では画面を二分割して構図を構成することで画面の左右中央に基準線が存在するのに近い印象を与えることができた。
著者
菅野 博之 大塚 英志 泉 政文 山本 忠宏 本多 マークアントニー 大内 克哉 Hiroyuki KANNO Eiji OHTSUKA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Mark Anthony HONDA Katsuya OUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

WEB上にまんが表現が移行するということは、「単行本」や「雑誌」がWEBの環境下で新たな適応を求められることを意味する。現在のまんが表現は「コマ」を映画の1カットに見立て「モンタージュ」的に接続する一方、2頁単位の「見開き」に「構成」として配置するものであるが、そのような方法はWEB上では一度解体する。本研究では「横スクロール」形式によってiPadなどのタブレット上に帯状に描かれたまんがを表示する技法において、紙のまんがに替わる新しい文法形式を検証するため、中世の絵巻物「信貴山縁起」の手法の解析を行った。その結果、画面を上下二分割する中心軸上で読者の視線を上下させる技法を確認し、それがiPad対応の横スクロールまんがにも用いることができることを確認した。その他「異時間図法」など、絵巻の技法は応用可能であることが確認できた。「絵巻」と「横スクロール形式のWEBコミック」の方法上の互換性は高く、そこに「紙のまんが」や「アニメーションの技法」をどのようにあらためて導入するかが次の重要な課題である。
著者
山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 泉 政文 Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO Masafumi IZUMI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2013-11-25

本研究では、石ノ森章太郎のまんが作品を対象として、写真や映画における運動表現を対置しながら石ノ森章太郎の運動表現の分析を行うことを目的とする。分析対象としては、1971 年に『少年マガジン』において、TV シリーズとのタイアップで1 年間連載された『仮面ライダー』を取り上げる。石ノ森章太郎はこの作品の直前に『ジュン』(1967)や「神々との戦い編」『サイボーグ009』(1969)において実験的な表現を行っている。そこには、特定の主人公に感情移入させる物語を語ることに縛られない表現が見受けられ、その方法は『仮面ライダー』の運動表現において「加速と停滞」という役割として顕著に見られる。石ノ森章太郎の運動表現における「加速と停滞」という要素を検証しながら、物語を語ることと共に作品内において二つのモードの形成について考察する。This study analyzes the motion representation of Shotaro Ishinomori comic works, comparing the motion representation in photography and early film. The analysis object is "Kamen Rider"(1971) was serialized in "Shonen Magazine" tie-up with the TV series. Ishinomori have done an experimental representation just before, in "Jun"(1967), "Kamigamitonotatakai-hen" of "Cyborg 009"(1969). This representation is not related storytelling and the factor of stagnation and acceleration in the motion representation of "Kamen Rider".We consider the two modes of the storytelling and the motion representation, analyzing the factor of stagnation and acceleration in the motion representation of Shotaro Ishinomori.
著者
山本 忠宏 大塚 英志 石井 岳龍 橋本 英治 泉 政文 Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Gakuryu ISHII Eiji HASHIMOTO Masafumi IZUMI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

本研究の目的は、まんがと映画の関係について、実際にまんがを映像化して研究資料自体を制作することと、作成した資料をもとに異なるメディウムである両者について検証を試みることである。すでにまんがと映画の関係については、多くの先行研究により様々な角度から検証が行われているが、それらを踏まえつつ新たな論点を探求することも視野に入れる。本論では、大塚英志原作、藤原カムイ作画『アンラッキーヤングメン』(角川書店、2004~6)の一部を逐語訳的に映像化した上で、すでに一部逐語訳的映像化を行った石ノ森章太郎『龍神沼』(講談社、1961)の映像と適宜比較検証することで特徴を明らかにするとともに、1960 年代と2000 年代の映画的手法における表現の変化についても考察していく。The objective of this case study is to compare and verify the relationship between the manga and the film created with manga as a base. The research about this process is carried out by many researchers previously. So, including the viewpoint of other researchers, I will add my own views to find a new approach to the issue of these studies.In this paper, I am converting the part of manga written by Eiji OHTSUKA and Kamui FUJIWARA titled "UNLUCKY YOUNGMEN" and compare it to the manga based film" RYUJINNUMA" previously converted by myself which was written by Shotaro ISHINOMORI in 1961. Comparing and verifying these two films conversion process will find out the difference between the changes of the method of film in manga from 1960s' to 2000s'.
著者
本多 マークアントニー 泉 政文 山本 忠宏 大塚 英志 橋本 英治 Mark Anthony HONDA Masafumi IZUMI Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Eiji HASHIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

WEB表現へのまんがの適応について、その方向性として、①縦及び横の「スクロール形式 」、②「見開き」に基づくまんがの文法を解体し、一頁単位の表示に基づく文法にシフトした形式 、③静止画のスライドショー形式、の3つが仮説としてたてられ、今回の共同研究では、①のうち「縦スクロール形式」と③の「スライドショー形式」について、そこで採用されるべき文法を仮定し、それに基づき実験作品を制作した。縦スクロール形式においては日本まんが表現の「映画的手法」をいかに導入するかに研究の主眼を置いた。その結果、アイレベルを基準とし、それに続くコマでのアングルの極端な切り換え、コマの縦幅の極端な変化における「尺」(時間)の表現などの、紙媒体で成立した手法の中心的な部分が、WEBへの置き換えが可能であることが確認された。その結果、「横スクロール形式」よりも「縦スクロール形式」の方が映画的手法の移植に向いているという仮説が新たに得られた。また「横スクロール」においては、画面の天地ほぼ中央に視線誘導の基準となる中心線を置くことで視覚の流動性を確保したが、「縦スクロール」では画面を二分割して構図を構成することで画面の左右中央に基準線が存在するのに近い印象を与えることができた。Based on the hypothesis that there are three major directions taken by modes of adaptation of web expression to manga, namely, 1) Forms that adopt vertical or horizontal scrolling; 2) Forms that dismantle the conventional manga grammar based on the double-page spread, and shift to a grammar based on the single-page display; and 3) Forms involving slide shows of still images, this joint study looked at vertical scrolling among the forms under category 1), and also 3), the slide show format, hypothesizing the kind of grammar suitable for these forms, and creating experimental works based on the hypothesized grammar. Research on vertical scrolling webcomics focused on how the movie-style techniques of Japanese manga were incorporated. The research showed that the main movie-style techniques realized in print—such as starting from normal eye level and then abruptly changing the angle in the subsequent panel, or radically altering the height of the panel to represent length of time—could be successfully transferred to the web. Another outcome of the research was the new hypothesis that vertical scrolling is better-suited to the transplantation of movie-style techniques than horizontal scrolling. It was also found that in horizontal scrolling, smooth eye movement for the reader could be retained by placing a central line, which serves as a reference for guiding the eye, roughly at the mid height of the screen, whereas in vertical scrolling, partitioning the screen into two halves to create the composition achieved an impression similar to having a reference line dividing the width of the screen.