著者
福田 智子 Tomoko Fukuda
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.88-84, 2021-03-31

バイエルン州立図書館所蔵『源氏物語』は、辻英子氏により紹介された写本である。その筆跡から、小野お通筆とされている。従来、徳川秀忠が娘の千姫の輿入れに際し作らせた嫁入り本である可能性が指摘されていた。そこで、改めて検証してみると、写本が収められている箱の表に、清和源氏義光流、小笠原家の家紋「三階菱」が記されていることに気づく。この箱がお通書写本と同時に製作されたものとするならば、お通の活躍時期に、嫁入り本を必要とする可能性のある女子として、慶長五年正月、松平阿波守至鎮に嫁した、小笠原秀政女、萬姫が浮上する。なお、本書とともに「葵紋」が伝来するのは、彼女が徳川家康の養女であったことと関わるか。また、箱表の図柄は宇治の情景か。
著者
福田 智子 大久保 孝晃 伍 昆 胡 淑雲 Tomoko Fukuda Takaaki Okubo Kun Wu Shuyun Hu
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.118-102, 2020-03

本稿は、同志社大学文化情報学部が所蔵する江戸時代に制作された『百人一首かるた』のうち、歌意絵入りかるた四種について、札の影印を掲載するとともに、翻字と、古注釈を参看した歌意絵の図柄に関する比較考察を行うものである。今回は、『百人一首』一二番から一六番までの札を取り上げる。資料紹介
著者
福田 智子 Tomoko Fukuda
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1-21, 2021-11-30

『源氏物語色紙画帖』(請求記号:721.2/G9216、資料番号:166700140)の名称で、同志社大学文化情報学部に所蔵されている本書は、『源氏物語』の本文と画が、一帖につき一枚ずつで計十二帖分、二十四枚収められている。取り上げられている帖は、桐壺・若紫・紅葉賀・花宴・明石・蓬生・絵合・初音・若菜下・夕霧・橋姫・早蕨であり、『源氏物語』の帖の順序に沿っている。本稿は、これらの帖の本文と画について、他の『源氏物語』伝本および源氏絵と比較検討しながら、本書を紹介、考察するものである。資料(Material)近世から近代に至る日本伝統文化の分野横断的研究とデータサイエンス教材への活用
著者
福田 智子 松本 尋弥 小原 菜々子 関 あかり 薛 堰之 Tomoko Fukuda Hiroya Matsumoto Nanako Ohara Akari Seki Yanzhi Xue
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.130-120, 2021-03

『源氏絵師屏風言葉書』は、江戸時代中期写とされる巻子本である。『源氏物語』五十四帖の本文を、一帖につき一箇所ずつ抜き書きしたもので、これに対応する源氏絵を屏風に描く目的で作成されたものと推察される。本文は、青表紙本系統の肖柏本に近い本文をもつ帖が複数あるが、東屋巻は河内本系統の前田家本の影響も認められる。また、本書が示す源氏絵の図柄を推定すると、『源氏物語』承応三年版本の挿絵に包含される。資料紹介
著者
福田 智子 Tomoko Fukuda
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-25, 2020-11-30

本書は、「寳暦十年秋 藤原忠晟」という奥書をもつ百首歌である。外題・内題もない。『新編国歌大観』を検する限り重複する歌はなく、また、『類題和歌集』にも同じ歌は見当たらない。近世の百首歌については、未だ紹介されていないものが少なくないことが想定される。本書もその中の一書に過ぎないが、本百首歌の題が、おおむね宝治百首題に一致すること、宝暦十年(一七六〇)秋という年代が明記されていることなどから、宝治百首の近世における享受の一端を垣間見る史料にはなり得よう。そこで、本書を仮に藤原忠晟『百首』と称して紹介する。資料(Material)