著者
楊 吟雨 田口 哲也 Yinyu Yang Tetsuya Taguchi
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.14-23, 2021-03-31

前回の研究ノートは歴史的契機を軸にして日本と台湾のアポリティカルな若者文化について論考を進めた。本稿では、「アポリティカルな若者文化」という前回提出した概念を再度用いて現在の東アジアで展開されている大衆文化の1形態である48系のアイドル文化を記述することによって東アジアで現在展開されている大衆文化の特質を明らかにしたい。今回の研究対象になるのは日本発(日源)のアイドル文化である。
著者
鳩山 由紀夫 Yukio Hatoyama
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.37-45, 2006-03-20

自分の将来を考える上で、人生は一度しかないのだから、いろいろと試行錯誤をした上で自分の適性や将来の目標を見つけた方がよい。そのためには、どのような情報に基づいて、どのように将来の進むべき道を決定をしていけばよいのか、その最適な方法を考えることが必要である。これまでの学問経験や政治家としての人生経験に基づいて、科学的な意思決定の方法とは何か、数学という学問が我々の生活の中でどれだけ重要な役割を果たしているのかなど、意思決定に関する文化情報学的考察をおこなう。
著者
福田 智子 Tomoko Fukuda
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.88-84, 2021-03-31

バイエルン州立図書館所蔵『源氏物語』は、辻英子氏により紹介された写本である。その筆跡から、小野お通筆とされている。従来、徳川秀忠が娘の千姫の輿入れに際し作らせた嫁入り本である可能性が指摘されていた。そこで、改めて検証してみると、写本が収められている箱の表に、清和源氏義光流、小笠原家の家紋「三階菱」が記されていることに気づく。この箱がお通書写本と同時に製作されたものとするならば、お通の活躍時期に、嫁入り本を必要とする可能性のある女子として、慶長五年正月、松平阿波守至鎮に嫁した、小笠原秀政女、萬姫が浮上する。なお、本書とともに「葵紋」が伝来するのは、彼女が徳川家康の養女であったことと関わるか。また、箱表の図柄は宇治の情景か。
著者
福田 智子 大久保 孝晃 伍 昆 胡 淑雲 Tomoko Fukuda Takaaki Okubo Kun Wu Shuyun Hu
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.118-102, 2020-03

本稿は、同志社大学文化情報学部が所蔵する江戸時代に制作された『百人一首かるた』のうち、歌意絵入りかるた四種について、札の影印を掲載するとともに、翻字と、古注釈を参看した歌意絵の図柄に関する比較考察を行うものである。今回は、『百人一首』一二番から一六番までの札を取り上げる。資料紹介
著者
福田 智子 松本 尋弥 小原 菜々子 関 あかり 薛 堰之 Tomoko Fukuda Hiroya Matsumoto Nanako Ohara Akari Seki Yanzhi Xue
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.130-120, 2021-03

『源氏絵師屏風言葉書』は、江戸時代中期写とされる巻子本である。『源氏物語』五十四帖の本文を、一帖につき一箇所ずつ抜き書きしたもので、これに対応する源氏絵を屏風に描く目的で作成されたものと推察される。本文は、青表紙本系統の肖柏本に近い本文をもつ帖が複数あるが、東屋巻は河内本系統の前田家本の影響も認められる。また、本書が示す源氏絵の図柄を推定すると、『源氏物語』承応三年版本の挿絵に包含される。資料紹介
著者
福田 智子 山本 愛奈 李 羽 耕三寺 華蓮 大久保 孝晃 徐 嘉楓 胡 淑雲 フクダ トモコ ヤマモト アイナ リー ユー コウサンジ カレン オオクボ タカアキ ジョ カフウ Fukuda Tomoko Yamamoto Aina Li Yu Kosanji Karen Okubo Takaaki Xu Jiafeng Hu Shuyun
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.38-28, 2019-03

本稿は、「同志社大学文化情報学部蔵『源氏絵所屏風言葉書』翻刻と考察(桐壺巻~野分巻)」に引き続き、当該書の御幸巻から幻巻の本文系統と、それが指し示す源氏絵の図柄を類型に照らして考察するものである。本文は、北村季吟『湖月抄』(延宝三年〈一六七五〉刊)と一致する帖もあるが、青表紙本系統の三條西家本との共通性が目立つ。また、本書が示す図柄を『源氏物語』承応三年(一六五四)版本の挿絵と比較すると、共通するものも多いが、幻巻では、紫上の死に関連した通常の類型的な場面を避けるといった図柄の選択が行われていると考えられる。資料紹介
著者
宮武 慶之 Yoshiyuki Miyatake
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1-2, pp.154-140, 2022-03-31

江戸の地廻り酒問屋である鴻池屋永岡家が所蔵した「五節句図」(大倉集古館蔵)には抱一書簡二通が付属し従来、宛名の鴻儀とは作画を依頼した永岡伊三郎とされてきた。しかしながら鴻池屋歴代の活動時期は明らかにされていない。そこで鴻池屋が江戸町会所御用達であった点に着目し、御用達に関する記録から鴻池屋歴代の活動時期を区分し抱一書簡を再検討することで当時の周縁を明確にする。
著者
山内 信幸 Nobuyuki Yamauchi
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.1-12, 2012-03-31

本稿では、「強意」という表現について、英語の強意副詞の分析から得られた知見によって、強意表現が「程度」から「強意」という連続体の中で段階性をもって具現化されるという前提で、日本語の強意副詞、とりわけ、「全然」の分析に応用し、その意味記述を試みた。まず、英語の強意副詞については、インフォーマントチェックによる検証を基に、強意副詞とされる増幅詞を分析の対象として、日本語の「全く」あるいは「非常に」には一律に対応するものではなく、強意の意味・機能にも程度差があることを確認した。また、コーパスによる研究によっても、この言語事実が裏打ちできることを指摘した。次に、英語の分析で得られた知見を日本語の分析の応用する試みとして、日本語の強意副詞と目される「全然」をとりあげて、その意味・機能を探った。まず、複数の国語辞典の記述を基に問題点を抽出し、従来から認められてきた「全然」+否定形については自明のこととして、本稿の分析対象からははずし、「全然」+肯定形について、時代の変遷とともに、その用法を検討した。『広辞苑』の語義記述を基にして、強意を表す「全く」と程度を表す「全く」および「非常に」に分類し、すべてが、程度から強意という連続した意味論上のスケール上に属しながら、その意味・機能が変化し、最終的には、新しい意味・機能が、欠落していた、あるいは、一時的に用いられていた意味・機能を補完するという主張を先行研究に触れつつ検討した。
著者
田口 哲也 村木 貴俊 タグチ テツヤ ムラキ タカトシ Taguchi Tetsuya Muraki Takatoshi
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 = Journal of culture and information science (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.31-37, 2011-03-10

資料紹介 文化情報学部はこのたびカリフォルニア州立大学サンディエゴ校名誉教授の故マサオ・ミヨシ博士より教授がその生涯をかけて収集した貴重な蔵書の提供を受けた。文化情報学部では比較文化研究室を中心に蔵書を整理分類し、蔵書はその大部分が文献室に所蔵されることになった。本稿では、この蔵書が同志社大学に収蔵されることになるまでの経緯とミヨシ・マサオ氏の波乱万丈な生涯を略述し、さらには20世紀後半から停滞した旧来の批評や学問を徹底的に批判し、あらたな学問領域を創生しようとしたミヨシの思想の根幹を紹介した。次号においては蔵書の中味について具体的に解説していく予定である。 The Faculty of Culture and Information Science received a collection of books from the late Masao Miyoshi, Professor Emeritus of the University of California, San Diego. The collection mainly consists of theoretical and critical books that Miyoshi collected over his life time. The books were directly shipped to the Faculty and no one except his immediate family has handled them since his death as they were all stored in his study in Del Mar, California. The Research Lab of Comparative Cultural Studies was the main force in the examining, selecting, and sorting out of all the books in the Masao Miyoshi Bunko (Collection). The collection is of critical importance for the Faculty because Miyoshi reached such a high level of critical and theoretical consciousness that he was able to envision interdisciplinary scholarship in the true sense of the word. In this article we start with a short biography of Miyoshi and discuss what his aims were and what we can learn from him. In the follow-up article, we will give a more detailed account of the contents and significance of the Miyoshi Masao Bunko.