著者
手島 直美 脇田 裕久 Teshima Naomi Wakita Hirohisa
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.21-31, 2006-03-31

本研究は、健常な女子大学生15名を対象として、直立姿勢から「抜き動作」と「蹴り動作」の2条件による一歩踏み出す前進動作を行わせ、両動作の差異を筋電図および床反力を手がかりとして比較・検討した。本研究の「蹴り動作」を基準とした「抜き動作」の結果は以下の通りである。1)筋放電量は、主動筋である大腿直筋に0.1%水準の有意な増大、腓腹筋には0.1%水準の有意な減少が認められた。2)鉛直分力は、ピーク値が5%水準の有意な増大、力積には0.1%水準の有意な減少が認められた。抜重に伴う鉛直分力の最小値は、被験者体重の71%であった。3)水平分力は、ピーク値が1%水準の有意な増大、力積と平均水平分力には0.1%水準の有意な増大が認められた。4)キック角度は、0.1%水準の有意な減少が認められた。5)前進速度は0.1%水準の有意な増大が認められた。6)動作時間は、前傾動作時間が1%水準、全動作時間には0.1%水準の有意な短縮が認められた。「蹴り動作」を基準とした「抜き動作」の相対値は、腓腹筋放電量が56%の減少、前傾動作時間が22%の短縮、鉛直成分の力積が11%の減少、動作時間が11%の短縮、キック角度が1%の減少、鉛直分力のピーク値が7%の増大、水平成分の力積が12%の増大、水平分力のピーク値が15%の増大、大腿直筋放電量が49%の増大であり、これらの結果は、「抜き動作」が「蹴り動作」に比較して末梢筋活動の軽減・床反力の増大・動作時間の短縮といった多くの利点を有する効率的な動作であることを示唆するものである。
著者
脇田 裕久 高木 英樹 Wakita Hirohisa Takagi Hideki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.81-88, 1992-02-28

本研究は、打突の機会の一つである出端小手を対象として、仕太刀の動作開始時間・動作時間、右上肢関節角度、竹刀角度、竹刀先端速度を指標とし、熟練者群と未熟練者群の相違点を検討した。その結果、熟練者群は、打太刀の振り上げ動作が開始される前に動作を起こし、打撃動作が小さく、振り下ろし速度が速いため、動作時間が短縮し、打太刀の出端を的確にとらえた打撃が可能である。一方、未熟練者群は、打太刀の動作開始と同時に動作を起こし、振り上げ動作が大きく、振り下ろし速度が遅いため、動作時間が延長し、打太刀の出端をとらえることが困難になることが明らかにされた。