著者
中井 朋一 村田 暁 Yimamu Aibibula 名倉 泰三 佐藤 忠 佐渡谷 裕朗 大谷 昌之 花田 正明 岡本 明治
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.173-178, 2007-05-25

去勢牛の十二指腸からラフィノースを投与し,糞便のpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>の菌数に及ぼす影響について調査した.供試動物として十二指腸および回腸カニューレを装着したホルスタイン種去勢牛3頭を使用した.基本飼料はチモシー乾草(CP 7.0% DM, TDN 55.0% DM)および配合飼料(CP 20.5% DM, TDN 70.0% DM)とし,等量ずつ6時と15時に給与した.ラフィノースを50g含有した蒸留水200mLを,6時に十二指腸カニューレから4週間投与した.ラフィノース投与開始前日を0週(W0)とし,1(W1),2(W2),3(W3)および4週目(W4)の6時に回腸内容物および糞便を採取した.W0とW4には,ラフィノース投与直前と投与後4,8,12,16および20時間目に回腸内容物および糞便を採取した.採取したサンプルについてpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>の菌数を測定した.その結果,1週ごとの回腸内容物および糞便のpHおよび<I>Bifidobacterium</I>と<I>Lactobacillus</I>菌数に特定の傾向は認められなかった.W0およびW4に4時間ごとに採取した回腸内容物の同項目に特定の傾向はみられなかった.投与後8時間目の糞便においてW4がW0に比べ<I>Bifidobacterium</I>菌数が増加し (<I>P</I><0.05), pHが低下した (<I>P</I><0.05). 投与後12および16時間目の糞便では, W4がW0に比べ<I>Bifidobacterium</I>および<I>Lactobacillus</I>菌数が増加した(<I>P</I><0.05).以上から,去勢牛の十二指腸からラフィノースを投与することにより,糞便の<I>Bifidobacterium</I>および<I>Lactobacillus</I>菌数が増加し,pHが低下することを確認できた.