著者
佐藤 忠彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.4-20, 2022-03-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
12

本稿は,計量経営学の進展を狙いとし,その要素技術になるデータサイエンスの基本事項を紹介することを目的とする.本稿では,まずデータサイエンスの入力となる「データ」の特性を述べ,「モデル化に対する基本姿勢」を紹介したうえで,主要なツールとなる「統計モデル」と「機械学習モデル」の概要を説明する.また,経営学でも有効活用しうる「ベイズモデル(統計モデルの一種)」の解析例も併せて紹介する.
著者
佐藤 忠雄 清水 雅子 渡辺 一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.585-586, 1956-09-20

においのある物質の溶液,たとえばサルバルサン,カンフル,ビタミンB1等の溶液を鼻からかいでみると,それぞれ特有のにおいを感じる。これは即ち鼻性(呼吸性)嗅覚である。一方これらの溶液を静脈内に注射すると7〜8秒後に同様ににおいを感じ,しかも鼻からかぐ場合よりもより強く感じることは既に知られているところである。静脈注射によつてどうして嗅覚が起るかというと,これらの物質のにおいが気道(主として肺)から放散され,これが呼気に混じて主として後鼻孔から鼻腔に送られ嗅神経末梢を刺戟するために嗅覚を起すと考えるのが常識的な考え方である。このことについては既に1916年にForschhei—merがネオ・サルバルサンを静注すると,注射されたサルバルサンのにおいが呼気に混じて出て,来て,これによつて嗅覚が惹起されると述べている。ところが1930年にBedntär, Langfelder等は静脈注射によつて起る嗅覚は,静脈内に注射されたにおいのある物質—嗅素—が血行中で直接に嗅神経末梢に到達しこれを刺戟するために起るものであるという説を提唱した。彼等はこれを血行性嗅覚(或は静脈内性嗅覚)と呼び,従来考えられている嗅覚,即ち呼吸性(或は鼻性)嗅覚とは全然別に存在するものであると主張した。1938年,石川はこれを追試して両氏の説に賛成し,嗅覚は鼻性と血行性の二つに大別しうるということを述べている。我々は嗅覚障碍の治療法として水溶性カンフル(ガダミン)の静脈注射療法を試みた際,たまたまこの血行性嗅覚の存在について疑念を抱いたので,これを検討した結果,血行性嗅覚なるものは存在せず,所謂血行性嗅覚と考えられたものは普通の鼻性(呼吸性)嗅覚にほかならぬという結論に達したのでここに報告し,諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。 Bednär, Langbelder等が血行性嗅覚の存在を主張する根拠は何処にあるかというと,それは彼等の行つた次の如き実験の結果によるものである。即ち彼等は被検者として嗅覚正常なものを選び,鼻腔に流動パラフィンを浸したタンポンを施し,先づ鼻性嗅覚の存在しないことを確かめたのちネオ・サルバルサン溶液,カンフル溶液,再餾テレピン油等を静注すると,それぞれ特有の嗅感覚を認識した。従つてこの際起る嗅覚は鼻性(呼吸性)嗅覚とは無関係の全く別種の嗅覚であつて,これは血行性に直接嗅神経末梢部に到達して起る嗅覚であるから血行性嗅覚であると考えたのである。しかしこの実験では完全に鼻性(呼吸性)嗅覚を除外したとは言えないのである。何故ならば,鼻腔はタンポンによつて遮断されているから,呼気の大部分は口から出るけれども,その一部が後鼻孔から入つて鼻腔の後部から上昇し嗅神部に到達しないとは断言出来ないからである。(嗅神部の全部をタンポンガーゼで覆うことは不可能である)従つて,鼻腔にタンポンを施して鼻呼吸を遮断しておいてもなおかつ嗅覚が起るからこれは血行性の嗅覚であると断定するのは早計であるといわざるを得ない。そこで我々はもつと完全に鼻呼吸を除外してもなおかつ嗅覚(所謂血行性嗅覚)が起るか否かについて実験した。
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.161-172, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
21

In this paper, POS data with IDs of drugstores is applied to the analysis method proposed by Govaert & Nadif (2010). By using the Poisson latent block model with snacks purchase history data at drugstores located in the Gifu region, we cluster both the customers and the snacks brands simultaneously, and grasp the snack brand group that the customer group with a high purchase frequency choose. Furthermore, based on the model estimation, we discuss effective marketing measures in drugstores. Although we analyze only snack category, it can be extended to other product categories and is an effective way to summarize Big Data.

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著者
鶴見俊輔 佐藤忠男 北杜夫編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
1969
著者
佐藤 忠文
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.187-203, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
36

本研究では,自治体が広報活動で使用する広報写真について,情報資源化へ向けた課題を考察する。近年,オープンデータや文化情報資源に対する関心が高まるが,資源としての広報写真の現状はこれまで明らかにされていない。そこで本研究では,まず広報写真の性質を論じ,行政広報論の視点のもと広報写真家の言説に着目,そこから広報写真の共通構造を導出した。次に,それをもとに情報資源化の問題点について仮説を構築し,自治体に対し質問紙調査を行いその現状を明らかにした。最後に,調査結果をもとに課題を考察した。研究の結果,広報写真は,効率的な内容理解と行動変容を促す創造的な視覚媒体と言え,広報目的の達成に向けて,確実性,共感性,倫理性,記録性からなる共通構造を持つと考えられた。そして質問紙調査から,①撮影・管理,②アーカイブ,③二次利用の状況が明らかになった。そのうえで,①の課題として,撮影量に対応可能な効率的なメタデータ管理方法と柔軟な権利処理手続きの開発,②の課題として,広報写真の文脈までを保存し管理の煩雑さに対応可能なアーカイブ構築,③の課題として,商用利用を含む利用促進へ向けた利用ルール等の整備が明らかになった。本研究の成果は,主に3点である。従来の言説をまとめ広報写真理解のための理論を構築したこと,これまで明らかにされなかった広報写真の現状を一定明らかにしたこと,そこから情報資源化へ向けた具体的な課題を明らかにしたことである。
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.53-68, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
35
被引用文献数
2 1

The purpose of this research is to reveal how the marketing mix strategy in the department store influences the customer's shopping trip behavior to the department store. The model represents the mechanism of frequency of coming to the stores with framework of an hierarchical Bayes Poisson regression model. The model includes three explanatory variables: “Store loyalty”, “Direct mail”, and “Events”. These variables are also modeled by functional form with parameters. As a result, we could confirm that direct mail is one of the marketing mix variables that have the most effect on frequency of coming to the store.
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.83-98, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
44

Drug stores have recently expanded in size and widened available product categories. Efficient store management requires accurate and rapid data analysis and in-depth understanding of customers' purchasing characteristics. In this study, we apply the block clustering method to point-of-sale (POS) data with identifications (IDs) in drug stores in Japan's Gifu region to examine the purchasing characteristics of product categories. Since this method can simultaneously evaluate customers and product categories, it is possible to investigate data more easily and quickly than other analytical methods used for customers and product categories. We construct blocks combining clusters of customer and product categories and identify the customers that stores should prioritize and specific product categories that should bolster marketing measures. This study proposes a method that retailers can employ when considering decisions on marketing activities such as product lineups, sales floor layouts, or pricing strategies.
著者
笛木 司 田中 耕一郎 牧野 利明 松岡 尚則 佐藤 忠章 小池 一男 頼 建守 並木 隆雄 千葉 浩輝 別府 正志 須永 隆夫 岡田 研吉 牧⻆ 和宏
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.281-290, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
22

「桂」に類する生薬(以下「桂類生薬」)は,古典医書中,多くの薬名で記述されており,それらの薬名と基原の対応は現在も未解決の問題である。我々は『本草経集注』「序録」の「桂」の長さと重さに関する記述に,先に明らかにした同書の度量衡の換算値を適用することにより,当時「桂」として流通していた生薬は,現在のシナモンスティックに相当するCinnamomum cassia の枝皮(カシア枝皮)であったと強く推測した。推測の妥当性を確認するためカシア枝皮に含まれるケイアルデヒドとクマリンを生薬市場で入手した種々の桂類生薬と定量比較したところ,カシア枝皮中の2成分の含有量は,市場で上品とされる日本薬局方適合ベトナム産ケイヒ(C. cassia の幹皮)と近い値を示し,この推測を支持する結果を得た。C. cassia の幹皮の代わりに枝皮を医薬品として応用できる可能性があると考えられた。
著者
佐藤 忠司 山村 由華 古賀 広幸 宮崎 澄雄
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.29-32, 1999-04-30 (Released:2008-11-05)
参考文献数
6

TLS (Tumor lysis syndrome) は化学療法により,またはまれに自然に悪性腫瘍が急速崩壊し,高UA (尿酸) 血症などの代謝障害に引き続きARF (急性腎不全) に至る症候群である。私たちはALL (急性リンパ性白血病) の8歳女児例に抗腫瘍剤VCR (Vincristine),DNR (Daunorubicin),MTX (Methotrexate) の投与を開始したところ翌日までに麻痺性イレウス (腸閉塞) を発症した。その後3日間で高UA血症,高りん血症などが進行し,急性腎不全となった。低Ca血症,低Na血症,肺水腫などを合併したが腹膜透析療法を含む集中治療を行い救命した。
著者
田中 宗信 佐藤 忠教 阿川 薫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.52, no.484, pp.4084-4093, 1986-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
5

An experimental study on the reforming characteristics of five different catalysts for methanol fuel was conducted and the endurance of each catalyst was examined using a fixed type reformer. A reformer utilizing the heat of exhaust gas was also designed and constructed, and the effect of blending the reformed methanol fuel to gasoline was studied in the combustion process of a spark ignition engine. Analyses of the indicator diagram show that the increase of the ratio of reformed gas and gasoline results in (1) an increase of speed and stability of combustion characteristics, (2)the extension of the lean limit of the air-fuel ratio, (3) an increase in the thermal efficiency, (4) a decrease in the cycle-by-cycle fluctuation of the combustion process, and (5) quick achievement of stability for abrupt changes in the throttle position. In view of three results, the optimum operating conditions are proposed.
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-57, 2020 (Released:2020-12-11)
参考文献数
52
被引用文献数
1

We attempt to clarify the mechanism of the amount of money of purchase by each customer in a department store in Nagoya city using the Bayesian regression model. Specifically, we use two types of explanatory variables, “Direct mail”, and “Events”, to research a relationship between the purchase amount and department store's strategy. Direct mail means the number of mails that the department store uses to inform their customers about new items, privileges of card holders, and storewide events. We also add “frequency coming to the store” as explanatory variables. Additionally, we adopt type-1 Tobit model to presume the optimal value for the dependent variable, if the dependent variable in the regression model is zero. Furthermore, we examine the relation between department strategy and the customer's attributes by incorporating customer's attributes into the hierarchical model.
著者
佐藤 忠彦 領家 美奈
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-31, 2022-09-13 (Released:2022-09-14)
参考文献数
32

本研究は,同一説明変数に対する複数の異質な回帰係数を同時に推定可能にする階層ベイズ回帰モデルを提案し,その有効性を検証することを目的とする.提案モデルの有効性は,数値実験と実データを用いた解析で検証した.数値実験では,真のモデルを精度高く再現できるという意味で,提案モデルの有効性を確認した.また,POSデータを用いた実証分析では,提案した枠組みで市場反応を製品異質性と時点異質性に分解可能であることを示した.提案した枠組みは,反応係数の明示的な要因分解を実現し様々な社会科学現象のモデル化およびそのモデルに基づく意思決定で有効活用できる.