- 著者
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葛飾北齋 画編
- 出版者
- 雙鶴堂鶴屋金助
- 巻号頁・発行日
- 1815
葛飾北斎画・編、藤間新三郎補正の歌舞伎舞踊(所作事)の稽古本。中本1冊。墨摺り。文化12年(1815)夏、江戸・鶴屋金助板。絵師署名(本文末)「かつしかおやぢ筆」。7代目団十郞(三升)と3代目坂東三津五郎(秀佳)の序を添える。秀佳の序に「後世の令利を、ぐつと呑込蛇山の主人、画工と謀て踊独稽古の小冊を編、師の影を踏と教る躍かな、と故人の秀吟に引替、学ずして其振を覚る事」云々とある。「蛇山の主人」とは藤間新三郎と推定されるが、その決断によって、踊りの振りを図示した本書が刊行されたという。収めるところは所作事4番「登り夜舟」、「気やぼうすどん」(積恋雪関戸)、「悪玉おどり」、「団十郞冷水売」で、後編に「源太」「半田稲荷」「おかめ」「道成寺みちゆき」の4番を収める予定であったが、成らなかった。北斎の絵は、振りの説明、さらに長唄の文句を加えつつ、踊りの所作を連続的に描いたもので、踊り手が手足を引き動かすのを表すために太線を使用し、足の伸び縮みや身のひねりがよく分かるように肌の露わな姿に描くなど工夫を加えている。(鈴木淳)(2017.2)