著者
Yukako Yoshida 吉田 ゆか子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.311-348, 2021-09-30

本研究は,音楽の越境という現象を,新たなモノ(主に楽器)との出会いとしてとらえなおすものである。本稿では,日本におけるバリ・ガムラン音楽の演奏グループの上演や活動において,バリから運ばれてきた楽器が,さまざまに作用する姿を描き出した。ガムランはバリの信仰とも結びつきながら地域共同体のなかで育まれてきた音楽であり,楽器も現地の物理的社会的条件に適合的に作られている。そのため,それが日本に運ばれてきたとき,人々の生活や環境と齟齬をきたす。日本の演奏者たちは,周囲のモノの配置を工夫したり,新たな人間関係を築いたり,演奏内容を変化させたりしながら,楽器とそれを取り囲む日本の社会的物理的環境を調整し,なんとか楽器と折り合ってゆく。こうして楽器は,バリの人-モノのネットワークから部分的に切り離され,日本で新たな人やモノとの関係に入ってゆくのである。しかしながら本研究からは,バリ製の楽器が,モノらしいユニークなやり方でバリと日本を繋いでいるという面も明らかになる。

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そして深川バロン倶楽部も取材を受けた、吉田ゆか子さんによる「楽器との出会いとしての音楽の越境」を同じタイミングで拝読。 https://t.co/zWdcOm038G 持ち込まれた楽器とその音楽が異文化の中でどう位置づけられているか、ではなく、楽器が人間をどう変えているかの話。

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