- 著者
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一方井 祐子
マッカイ ユアン
横山 広美
- 出版者
- 北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
- 雑誌
- 科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, pp.55-67, 2018-12
近年,インターネットで不特定多数の公衆から資金支援を募るクラウドファンディングが注目され,研究者も研究資金の獲得にクラウドファンディングを利用するようになった.予算の多元化が推奨される中,クラウドファンディングが新たな科学技術のパトロネッジ(第4のファンディング)として利用されていく可能性は高い.科学コミュニティにおけるクラウドファンディングを議論する上では,参加者の動機づけや問題意識の整理が欠かせない.しかし,これまで,研究者がどのような意識でクラウドファンディングに参加してきたかを調べた調査は少なかった.そこで本稿では,学術系クラウドファンディングに参加した日本の研究者を対象に意識調査を行った.その結果,研究者の主な参加動機は,第一に研究資金の獲得であり,ファンディングの側面が強かった.また,自身の研究のアピール,研究の面白さを伝えることが重視されていた.学術系クラウドファンディングには双方向コミュニケーションを促進させる場がいくつかあるが,現状としては,学術系クラウドファンディングは主に一方向的な情報伝達のコミュニケーションツールとして活用されている.