- 著者
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秋本 祐希
横山 広美
- 出版者
- 北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
- 雑誌
- 科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.47-57, 2015-12
素粒子は顕微鏡等を用いても目にすることができず,波と粒子の両方の性質を持つという性質上,イメージすることが難しい.素粒子を扱う素粒子物理学は,それゆえ直感的にわかりにくい分野である.そこで我々は,素粒子物理学を直感的にわかりやすく説明し,また同時に関心を持ってもらうため,わかりやすいコミュニケーションのツールとして,イラストとマンガに着目した. 本稿では,最初に「わかる」という概念を整理し,その上でイラストが,想像することが困難な事柄を「想像できるものに例えて」その概念を大枠で説明することに役立つことを主張する.例えばイラストでは,素粒子を目に見える特徴を持ったキャラクターにすることで,これが可能になった.さらにマンガでは,素粒子や素粒子実験をキャラクターとして用い,素粒子物理学のエッセンスを組み込んだストーリーにすることで,文章だけでは興味を持ちづらい事項を,親しみやすく提示することができた.また特徴的な活動のひとつは,科学技術に関する審議会の議事録をイラストで説明したことだ.
こうした取り組みは,これまで単に「わかる」ためのみに用いられていたイラストを,双方向のコミュニケーションの土台として活用できる.