著者
久保田 祐貴 加藤 昂英 一柳 里樹
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.61-74, 2021-03

近年,参加者それぞれが,新たな視点や科学との関わり方を見いだすことのできる,対話を伴う科学技術コミュニケーションが注目されている.その実践では,科学技術に対する参加者の意見や知識を説明者や他の参加者が把握するとともに,参加者と説明者が共同で新たなアイデアや視点を生み出すことが重要な目的となる.本報告では,著者らのUTaTané における一連の活動から2つの実践例を紹介する.これらの実践では,当事者性・受容可能性・柔軟性の3点に配慮した実践設計を行った.さらに,参加者の創作活動を対話の起点とすることで,参加者と説明者の双方が新たなアイデアや視点を見出すことを目指した.結果として,知己の者同士の直接的な対話だけでなく,初対面の者同士の対話や掲示された創作物を通した間接的な対話など,多様な形態の対話が実現した.特に,参加者が自発的に話題を提供することで,他の参加者や説明者が新たな視点を得る場面もあった.加えて,「きっかけから探究への一気通貫のデザイン」が対話を伴う科学技術コミュニケーションを行う上で重要であることが示唆された.これらの実践と考察は,参加者の相互交流や参画を促す実践を行う上での試金石となり,実践を組み立てる際の一助となることが期待される.

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(ぎりぎり聞き始められた!) 創作活動を使うことで,コミュニケーションの起点を参加者サイドに逆転させた,科学コミュニケーション(仮)の事例(私の主著)を話題提供してみます. https://t.co/UdwEK9nOYP #サイコムについて思うこと
余白の設計って、表現の上で非常に重要で、その表現はその人の価値観や興味が色濃く反映される。 https://t.co/UdwEK9nOYP この論文だと「受容可能性」という用語で余白の設計を書いた。 今の「科学を伝える」活動って、実は結構窮屈なところに閉じてるのかもな。
UTaTané(@UTaTane_MayFes )で行った実践論文が、無事出版されました! 2017年末に立ち上げた団体で積んできた実践が、遂に論文出版までたどり着いたので非常に感慨深い。 https://t.co/UdwEK9nOYP https://t.co/V6sYwBrDrW

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