著者
将基面 貴巳
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.63-72, 2017-05-31

現在、欧米のみならず日本でも学会を揺るがせている問題のひとつに「人文学の危機」がある。ネオ・リベラリズムの席巻に伴い、人文学のような、国民経済に直接的に貢献しない学問は「役に立たない」という議論が横行するようになっている。その結果、人文学系学部・学科は各国政府やメディアからの攻撃にさらされつつある。いわゆる「日本研究」の分野に属する研究の多くは人文学的なものである以上、「人文学の危機」という問題を傍観視するわけにはゆかないであろう。実際、日本国内外を問わず、人文学系の研究者たちは、人文学の意義について積極的に発言するようになっている。しかし、そうした発言の多くは、ネオ・リベラル的潮流への批判であり、人文学の自己弁護に終始し、人文学的研究と教育の現状を再検討する視点が総じて欠落している。

言及状況

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人文学としての日本研究をめぐる断想 / 将基面 貴巳 https://t.co/JmvvxbR7uk
しかも、私の周囲を見る限り、そうした人文学研究を行う教員には、研究の「専門化」を隠れ蓑にして自分しか関心を持たないような矮小なテーマに取り組んでいる者が少なくない。これを私は「学問のプライベート化」と呼ぶ(拙稿「人文学としての日本研究をめぐる断想」https://t.co/OfC7NxvL5C を参照)
シンポジウムのための参考文献6 将基面貴巳「人文学としての日本研究をめぐる断想」(2017) 「学問のプライベート化」を批判、「国内外の社会に対して、学問が果たしうる固有の仕方で貢献すること(経済的貢献だけではない!)」(p67)を求める。 #古典は本当に必要なのか https://t.co/dUbkLiu1mP

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